2012/1/9

総合 –EUウオッチャー

ユーロ圏インフレ率が2.8%に縮小、追加利下げの余地拡大

この記事の要約

EU統計局ユーロスタットが4日発表したユーロ圏の2011年12月の消費者物価指数上昇率(インフレ率、速報値)は前年同月比2.8%となり、前月の3%から0.2ポイント縮小した。インフレ率の低下は7月以来。依然として欧州中央 […]

EU統計局ユーロスタットが4日発表したユーロ圏の2011年12月の消費者物価指数上昇率(インフレ率、速報値)は前年同月比2.8%となり、前月の3%から0.2ポイント縮小した。インフレ率の低下は7月以来。依然として欧州中央銀行(ECB)が上限目標値とする2%を上回っているが、縮小局面に入ったとみられており、ECBが景気対策で追加利下げに踏み切る余地が大きくなってきた。

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ユーロ圏のインフレ率は、7月に前月の2.7%から2.5%に低下したが、9月に約3年ぶりの高水準となる3%まで上昇。11月まで3カ月連続で高止まりしていた。

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12月の消費者物価統計の詳細は17日に発表されるが、今回の低下はエネルギー価格の上昇に歯止めがかかり、さらにユーロ圏の景気が悪化していることが反映されたもよう。ユーロ圏経済は今年、南欧諸国の信用不安などでマイナス成長に陥ることが予想されていることから、市場はインフレ率がさらに下がるとの見方で一致。3月にも許容範囲内の2%まで縮小すると見る向きもある。

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ECBは信用不安で資金繰りが悪化している金融機関を支えるため、11、12月に連続して0.25%の利下げを実施。ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利は過去最低の年1.0%まで低下した。インフレ率が縮小に転じたことで、ECBがさらなる利下げを実施する環境が整いつつある。

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ECBは12月の公開市場操作で、過去最高額となる4,892億ユーロの資金(3年物)を市場に供給したばかり。ただ、資金供給を受けた銀行の多くは同資金を銀行間融資に回さず、安全なECBの翌日物預金に預け入れたもようで、12月26日時点の同預金残高は過去最高の4,118億ユーロに達した。

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ECBは資金供給の効果を見極めるため、12日に開く次回の定例政策理事会では金利を据え置くと目されているが、市場では「政策金利が6月までに0.5%まで下がる」(RBCキャピタルのアナリスト、ジェームズ・アシュレー氏)との見方が出ている。

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