2012/1/9

総合 –EUウオッチャー

ボスニアで新政権発足へ、EU加盟協議の進展に期待

この記事の要約

ボスニア・ヘルツェゴビナで12月28日、主要3民族の政党関係者による会合が開かれ、約15カ月ぶりの新政権発足で合意した。同国では2010年10月の総選挙後、3民族を代表する政党間の対立で組閣協議が難航していた。新内閣の発 […]

ボスニア・ヘルツェゴビナで12月28日、主要3民族の政党関係者による会合が開かれ、約15カ月ぶりの新政権発足で合意した。同国では2010年10月の総選挙後、3民族を代表する政党間の対立で組閣協議が難航していた。新内閣の発足により、足踏み状態にある同国のEU加盟に向けた協議が進展する可能性もある。

\

多民族国家のボスニアでは1995年の内戦終結後もイスラム系、セルビア系、クロアチア系による民族対立が残り、政治的混乱が続いている。しかし、国際通貨基金(IMF)やEUが新政権発足まで財政支援を一時停止していたことなどから、各民族は内閣にあたる閣僚評議会の立ち上げに合意。首相や閣僚ポストの割り当てについても合意に達し、遅くとも2月中旬までに新政権が発足する見通しとなった。首相はクロアチア系政党から選び、残る9つの閣僚ポストは各民族間で配分される。

\

ボスニアはEU加盟を最優先課題の1つと位置付けており、08年6月にEU加盟のための前段階となる「安定化・連合協定(SAA)」を締結した。しかし、同国はセルビア系住民が中心のスルプスカ共和国と、ムスリムおよびクロアチア系住民からなるボスニア連邦に分かれており、EUが加盟の条件として求める国家統一が難航していることから正式加盟に向けた手続きは停滞している。

\

欧州委員会は今回の動きを歓迎し、「EU加盟に向けた協議が再び軌道に乗るよう、ボスニア・ヘルツェゴビナがさらに具体的な措置を講じることを期待している」との声明を発表した。

\