2012/1/23

総合 –EUウオッチャー

EFSF・仏などの資金調達順調、格下げの影響なし

この記事の要約

ユーロ圏9カ国と「欧州金融安定基金(EFSF)」はスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)によって格下げされたが、これまでのところ市場は冷静に対応しており、関係国とEFSFの資金調達に悪影響は出てない。\ EF […]

ユーロ圏9カ国と「欧州金融安定基金(EFSF)」はスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)によって格下げされたが、これまでのところ市場は冷静に対応しており、関係国とEFSFの資金調達に悪影響は出てない。

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EFSFは格下げ翌日の17日に実施した6カ月物債券の入札で、予定通り15億ユーロを調達。需要が堅調で、応募は募集額の3倍を超える46億ユーロに達し、平均落札利回りは0.2664%と低い水準にとどまった。

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EFSFと同じく最上級の「AAA」から1段階格下げされたフランスは、16日の短期国債(3、6カ月、1年物)入札で85億9,000万ユーロを調達し、74億~87億ユーロとしていた発行枠を消化。1年物の平均落札利回りは前回(1月9日)の0.454%から0.406%に低下した。さらに、19日の中期国債入札でも予定通り79億7,000万ユーロを調達。指標となる10年物国債の同日の流通利回りも3.09%と、前週末を小幅ながら下回った。

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このほか、スペイン、ギリシャも17日の国債入札を順調に消化した。スペインは1年物、1年半物の入札で48億8,000万ユーロを調達。平均落札金利は1年物が2.049%、1年半物が2.399%で、それぞれ前回の4.05%、4.226%を下回った。応募倍率は3倍を超えた。ギリシャが発行した3カ月物国債の利回りは、前回の4.68%を小幅ながら下回る4.64%。需要も堅調で、目標の12億5,000万ユーロを超える16億2,500万ユーロを調達した。

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ただ、ギリシャと同じくEU、国際通貨基金(IMF)から金融支援を受けており、2段階格下げされて投資不適格級とされたポルトガルの10年物国債の流通利回りは16日、2.3ポイント上昇し、14.198%に達した。

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格下げにもかかわらず入札が順調だったのは、市場が格下げを織り込み済みだったほか、欧州中央銀行(ECB)の資金大量供給によって銀行の資金繰りが改善し、金融市場の流動性が回復したことが背景にあるとみられる。EFSFの場合は、フィッチ・レーティングスとムーディーズ・インベスターズ・サービスが最上級格付けを維持していることで、信用が保たれていることも反映されたもようだ。

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