2012/1/23

総合 –EUウオッチャー

ハンガリーへの是正手続き開始、中銀改革法などの修正・撤回を要求

この記事の要約

欧州委員会は17日、ハンガリーで今月施行された中央銀行の機構改革などに関する法律がEU法に違反するとして、同国政府に是正を求める手続きを開始したと発表した。1カ月以内にハンガリー側が関連法の修正などの措置を講じない場合、 […]

欧州委員会は17日、ハンガリーで今月施行された中央銀行の機構改革などに関する法律がEU法に違反するとして、同国政府に是正を求める手続きを開始したと発表した。1カ月以内にハンガリー側が関連法の修正などの措置を講じない場合、EU司法裁判所に提訴すると警告している。同国のオルバン首相はこれに対し、中銀と金融監督当局の統合計画を撤回する考えを明らかにした。中銀の独立性を脅かすとの批判をかわし、先月から中断しているEUや国際通貨基金(IMF)からの金融支援に向けた交渉を再開させるのが狙い。欧州委のバローゾ委員長は今月24日にオルバン首相と会談し、一連の問題について協議する方針を示している。

\

オルバン政権は公共機関やメディアに対する政府の影響力拡大を図る政策を推し進めており、中銀総裁の権限縮小を柱とする中銀改革法もその一環。欧州委は新憲法に盛り込まれた裁判官と検察官の定年を強制的に70歳から62歳に引き下げる規定や、データ保護当局の権限を縮小する内容の規定についても独立性を脅かす恐れがあるとして強い懸念を表明している。バローゾ委員長は「他のEU加盟国と同様、ハンガリーは中央銀行、データ保護当局、司法機関の独立性を保障したEU条約を順守する義務を負う。同国の新法とEU法の整合性が確保されるよう、欧州委は必要なあらゆる法的措置を取る」と表明。ハンガリー政府に対して早急に是正措置を講じるよう求めた。

\

一方、オルバン首相は20日、地元ラジオ局のインタビューに応じ、中銀の独立性を脅かすとして批判が高まっている金融監督当局との統合計画を撤回する考えを明らかにした。同首相は「法律を修正できるのは政府ではなく、議会だけだ」と述べたうえで、「欧州委の懸念に対応するうえで特に困難な問題はない」と発言。EUの制裁を回避するため、中銀関連以外の法律についても譲歩の可能性を示唆した。

\