2012/1/30

総合 –EUウオッチャー

アイルランドが資本市場復帰、国債借り換えに成功

この記事の要約

財政危機でEUなどから金融支援を受けているアイルランド政府は25日、2014年1月に償還期限を迎える118億ユーロの国債のうち35億2,000万ユーロについて、新発債との交換による借り換えに成功した。市場での国債発行は2 […]

財政危機でEUなどから金融支援を受けているアイルランド政府は25日、2014年1月に償還期限を迎える118億ユーロの国債のうち35億2,000万ユーロについて、新発債との交換による借り換えに成功した。市場での国債発行は2010年9月以来。同国は資本市場への復帰を果たしたことで、危機脱却の気運が高まってきた。

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政府は債務管理庁(NTMA)を通じて、14年1月償還国債の保有者に対して、15年1月償還の国債との交換を要請。保有者の約3割が応じた。新発債の表面金利は4.5%で、交換対象となる国債の4%を小幅に上回る水準にとどまった。

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アイルランドは2010年末にEU、国際通貨基金(IMF)から総額675億ユーロの緊急融資を取り付けたが、同支援は13年で終了する。このため、14年には総額230億ユーロに上る国債償還資金を自力で調達しなければならない。今回の債務借り換えで、その一部を繰り越すことができ、同年の負担が縮小することになる。

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アイルランドは同じくEU、IMFから金融支援を受けているギリシャ、ポルトガルと比べて財政再建が進んでおり、昨年の財政赤字は目標の国内総生産(GDP)比10.6%を下回る10%まで縮小した。このため信用が回復傾向にあり、昨年7月に18%まで上昇していた5年物国債の流通利回りは5%台まで低下している。今回の国債借り換え成功で、信用回復に一層弾みがつくと期待されている。

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市場関係者によると、交換に応じた国債保有者の大部分はアイルランド国内の銀行。欧州中央銀行(ECB)が年末に実施した中期資金の大量供給で、銀行の資金繰りが改善したことが反映されたもようだ。

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政府は年内に長期国債の発行を再開する計画。蘭ING銀行のアナリストは「今回の借り換え成功は、海外の投資家を呼び戻す上で追い風になる」としている。

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