2012/2/6

産業・貿易

パキスタン一部製品の関税撤廃へ、WTOが承認

この記事の要約

世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会(パネル)は1日、EUがパキスタンの洪水被害復興を支援するため、同国産の繊維製品など75品目に対する輸入関税を一時的に撤廃することを承認した。WTOでは特定の国だけを対象とする優遇 […]

世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会(パネル)は1日、EUがパキスタンの洪水被害復興を支援するため、同国産の繊維製品など75品目に対する輸入関税を一時的に撤廃することを承認した。WTOでは特定の国だけを対象とする優遇措置は禁止されているが、今回のケースは例外として認める。

\

欧州委員会は2010年10月、同年に大規模な洪水被害に見舞われたパキスタンを支援するため、同措置の適用を提案した。対象品目には繊維製品のほか工業用アルコール、皮革製品などが含まれる。

\

パキスタンにとってEUは最大の輸出先。輸出の約3割がEU向けだ。繊維製品が最大の輸出品目で、70%以上を占めている。関税が撤廃される75品目の年間輸出額は約9億ユーロ相当で、全体の27%を占める。

\

EUの関税撤廃措置をめぐっては、繊維輸出でパキスタンと競合するインド、バングラディシュ、インドネシア、ブラジル、アルゼンチンなどが反発し、WTOに提訴したが、EUが20品目については無関税輸入に数量制限を設ける修正案を提示したことから、これを受け入れて訴えを取り下げた経緯がある。

\

同措置はWTOが14、15日に開く一般理事会での承認を経て実施される。適用期間は2013年末まで。EUが必要と判断すれば、1年間の延長が認められる。

\