2012/2/6

産業・貿易

中国のレアメタル輸出制限めぐる紛争、EUの勝訴確定

この記事の要約

中国が鉄鋼、アルミニウム、化学品の原料となるレアメタル(希少金属)の輸出を不当に制限しているとして、EUなどが世界貿易機関(WTO)に提訴している問題で、WTOの上級委員会は1月30日、原告側の主張を認める裁定を下した。 […]

中国が鉄鋼、アルミニウム、化学品の原料となるレアメタル(希少金属)の輸出を不当に制限しているとして、EUなどが世界貿易機関(WTO)に提訴している問題で、WTOの上級委員会は1月30日、原告側の主張を認める裁定を下した。これによりEUの勝訴が確定。中国は輸出制限の撤廃を求められる。

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EUは2009年、中国が国内で産出するボーキサイト、コークス、マグネシウム、マンガン、黄リン、シリコンカーバイド、シリコンメタル、ホタル石の9鉱物を国内企業に優先的に回すため、関税や数量制限を設けて輸出を制限しているのはWTO協定および同国のWTO加盟時の合意に反するとして、米国、メキシコとともに提訴。中国側は環境や資源を守るための措置で、WTOルールに違反しないと反論したが、WTOの紛争処理小委員会(パネル)は昨年7月に中国の措置を不当と認定した。中国は8月、これを不服として上級委員会に上訴したが、決定は覆らなかった。

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EUは中国によるレアアース(希土類)の輸出規制についても問題視し、WTO提訴は見送っているものの、撤廃を求めている。構造が同じである今回のケースでの勝訴はEUにとって追い風で、レアアース規制の早期撤廃に向け、圧力を強める見通しだ。

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