2012/2/6

産業・貿易

医療機器の監視体制を強化へ、仏の豊胸バッグ問題受け

この記事の要約

仏ポリ・アンプラン・プロテーズ(PIP)社製のシリコン豊胸材による健康被害の恐れが広がっている問題で、欧州委員会は2日、欠陥のある豊胸材が健康に与える影響についてより綿密な調査を実施するとともに、医療機器の監視体制を強化 […]

仏ポリ・アンプラン・プロテーズ(PIP)社製のシリコン豊胸材による健康被害の恐れが広がっている問題で、欧州委員会は2日、欠陥のある豊胸材が健康に与える影響についてより綿密な調査を実施するとともに、医療機器の監視体制を強化する方針を示した。

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シリコン豊胸バッグの分野で世界3位の大手だったPIPは、未認可の工業用シリコンジェルを使用していた事実が発覚し2010年に閉鎖された。同社の豊胸バッグは日本を含む65カ国以上で販売されたと見られているが、体内で破裂する恐れがあることが判明しているほか、発がん性を指摘する声も出ており、仏政府は先月下旬、この豊胸バッグを埋め込む手術を受けた同国内の女性に対し除去手術を受けるよう勧告した。

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欧州委は先月初旬、「新規の及び新たに特定された健康リスクに関する科学委員会(SCENIHR)」にPIP社製豊胸バッグについての調査を要請。SCENIHRは今月2日に発表した報告書で、「PIPが使用していた工業用シリコンが豊胸材の外層部分を劣化させシリコンが滲出する可能性がある」とする一方で、「現在入手可能なデータのみでは、PIPのシリコンバッグと女性の健康リスクに関する確固とした結論を出すことはできない」と結論づけるとともに、個々のケースに基づいたより詳細な調査が必要だとの認識を示した。

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欧州委のダリ委員(保健・消費者保護担当)はSCENIHR報告書の発表を受け、報告書の内容は「問題に関する現在の科学的知見に基づくもの」だとして、加盟各国から集めたデータをもとにさらに調査を進めるようSCENIHRに求めると同時に、現在販売されている医療機器の監視強化や安全性の確保について加盟国と協議すると明らかにした。さらに、今春までにまとめる医療機器指令の改正案に、「今回のケースで得られた教訓を反映させたい」と語った。

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