2012/2/13

総合 –EUウオッチャー

EU国債の格付け禁止、欧州議会で提案か

この記事の要約

欧州議会が、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)など格付け会社がEU加盟国の国債の格付けを行うことを制限する方向で動き出している。ロイター通信が8日報じたもので、格付けを望まない国の格付けを禁止するルールの […]

欧州議会が、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)など格付け会社がEU加盟国の国債の格付けを行うことを制限する方向で動き出している。ロイター通信が8日報じたもので、格付けを望まない国の格付けを禁止するルールの制定を求める決議案が提出される見込みだ。

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決議案の提出を検討しているのは、欧州社会党グループに属するイタリア出身のレオナルド・ドメニチ議員。ロイター通信が入手した決議案の原文では、格付け、その公表を同意した国に限って認めるという内容だ。

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EUでは、ギリシャに端を発した信用不安が、国債の格付けの引き下げによって市場の動揺が拡大したことで増幅されたとして、格付け会社への風当たりが強まっている。米国のサブプライムローンの欠陥を見抜けずに高い格付けを与えていた格付け会社が、果たして国債を正当に評価しているのかという不信感も背景にある。1月にはS&Pが、フランスを含むユーロ圏9カ国の長期信用格付けを一斉に引き下げ、大きな波紋を広げたばかりだ。

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すでにEUは格付け会社への監視を強めており、欧州委員会は昨年11月に規制強化案を発表した。しかし、国債の格付け禁止にまでは踏み込んでいない。決議案が採択されると、欧州委は新たに法案をまとめることになる。

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格付け会社は企業の株式、社債や国債の格付けを発行者の要請に基づいて行っているが、国債に関しては要請がなくても、対象国の企業、銀行のリスク判断に関連するため実施している。それを禁止するという大胆な規制に対しては、格付けを投資判断の大きな参考としている投資家の反発が必至で、決議案が提出、採択された場合は大きな論議の的となりそうだ。

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