ギリシャ政府は19日、EUと国際通貨基金(IMF)から第2次支援実施の条件として求められていた3億2,500万ユーロの歳出削減策の最終案を閣議決定した。これによりギリシャは同支援の条件を満たしたことになる。ユーロ17カ国は20日の財務相会合で支援実施の可否を判断する。
\EUはギリシャに総額1,300億ユーロの第2次支援を実施する条件として、政府が追加の財政緊縮策を実施することを求めている。ギリシャ政府は緊縮策をまとめたが、9日に開かれたユーロ圏の財務相会合では、政府が緊縮策を実施するかどうか疑問視し、新たな条件を持ち出した。◇ギリシャ議会による追加緊縮策承認◇与党が緊縮策実行を書面で誓約する◇年金削減を見送ったことで宙に浮いた3億2,500万ユーロの支出削減の具体化――という3条件だ。このうち議会承認は13日に実現したが、残る2条件が満たされていないため、ユーロ圏は14日、翌日に予定していた財務相会合を20日に延期することを決めていた。
\ギリシャは3月20日に145億ユーロの国債償還を控えており、それまでに第2次支援が実行されないとデフォルト(債務不履行)に陥る。政府は15日、与党の党首が緊縮策の実施を確約した文書を提出。最後に残っていた3億2,500万ユーロの具体的な削減策も、財務相会合の前日にとりまとめた。すでに決めていた防衛費削減のほか、月1,500ユーロを超える高額の年金受給者を対象に、1,300ユーロを超える分について支給額を12%削減することが盛り込まれている。国民の反発が強かった年金の追加削減にも、やむを得ず手をつけた形だ。
\さらに同日の閣議では、第2次支援のもうひとつの条件となっていた民間債権者の債務削減実施も決めた。ギリシャ国債を保有する銀行は、2,000億ユーロに上る元本を50%棒引きし、残る国債も新たな国債と交換する。これにより債務が70%削減されることになる。国債交換は3月8日に開始。11日の完了を目指す。
\これによってギリシャは、第2次支援実施の条件が整った。ただ、ユーロ圏財務相会合の議長であるルクセンブルクのユンケル首相兼財務相は、ギリシャが国内総生産(GDP)比160%近くに達している政府債務を約束通り2020年までに同120%以下に削減するための道筋が整ったかどうか確認する必要があるとしている。また、ユーロ圏はギリシャ政府が支援で提供された資金を確実に債務返済に充てるため、特別勘定で管理することも迫る見通し。消息筋はロイター通信に対して、20日の財務相会合で支援実施が承認される可能性は「50%を少し超える程度だ」と語った。
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