2012/2/27

総合 –EUウオッチャー

今年のユーロ圏GDPは0.3%減、3年ぶりマイナス成長に=欧州委

この記事の要約

欧州委員会は23日発表した暫定経済予測で、2012年のユーロ圏の実質域内総生産(GDP)成長率をマイナス0.3%とし、前回予測(11月)のプラス0.5%から大幅に下方修正した。ギリシャに端を発した信用不安が実体経済を圧迫 […]

欧州委員会は23日発表した暫定経済予測で、2012年のユーロ圏の実質域内総生産(GDP)成長率をマイナス0.3%とし、前回予測(11月)のプラス0.5%から大幅に下方修正した。ギリシャに端を発した信用不安が実体経済を圧迫するとの見通しに基づくもので、予想通りならリーマンショックで世界的な金融危機に見舞われた2009年以来3年ぶりのマイナス成長となる。(表参照)

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ユーロ圏のGDPは昨年10-12月期に前期比0.3%減となり、四半期ベースで2年半ぶりにマイナス成長に転落した。欧州委は今年の見通しについて、「欧州経済には安定化の兆しが見えている」としながらも、債務危機が金融市場に悪影響を与え、実体経済を押し下げるという悪循環は終わってないと指摘。今年第1、第2四半期もマイナス成長となり、「緩やかな景気後退」に陥るのは避けられないとしている。

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欧州委は毎年、春と秋に詳細な経済予測を発表するが、中間期に暫定的な予測を出している。これまで国別の暫定予測はEU主要国に絞っていたが、今回から全加盟国が対象となった。EU27カ国ベースの予想成長率は0%。マイナスに転落しなかったが、前回のプラス1.5%から大幅に引き下げた。

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国別では、債務危機でEUなどから金融支援を受けているギリシャが4.4%、ポルトガルが3.3%のマイナス成長になると予測。支援は受けていないものの、巨額の債務を抱えるイタリア、スペインも前回のプラスから下方修正され、それぞれ1.3%、1%のマイナスに設定された。いずれも財政再建に向けた緊縮策が景気を大きく押し下げるとみている。ユーロ圏経済の柱であるドイツは0.6%、フランスは0.4%のプラス成長を確保すると見込んでいるが、前回と比べて0.2ポイントの下方修正となった。

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欧州委のレーン委員(経済通貨問題担当)によると、今回の予想は債務危機が徐々に終息に向かうことを想定している。このため、危機が拡大または長期化すれば、マイナス幅は広がることになる。

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明るい材料としては、ギリシャ、ポルトガルと同じく金融支援を受けているアイルランドの予想成長率が、財政再建が順調に進んでいることを受けて、プラス0.5%となった。また、ユーロ圏のインフレ率を2.1%とし、欧州中央銀行(ECB)の上限目標値である2%に近い水準まで低下すると予想した。これにより、ECBが景気対策として追加利下げを実施する余地が膨らむことになる。

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