2012/3/19

総合 –EUウオッチャー

スペインの財政赤字、ユーロ圏が緩やかな削減を容認

この記事の要約

ユーロ圏17カ国は12日に開いた財務相会合で、財政危機に直面するスペインに対して、今年は国内総生産(GDP)比0.5%に相当する財政赤字の追加削減を求めることで合意した。これでも赤字は当初の目標を超えるが、同国の景気が急 […]

ユーロ圏17カ国は12日に開いた財務相会合で、財政危機に直面するスペインに対して、今年は国内総生産(GDP)比0.5%に相当する財政赤字の追加削減を求めることで合意した。これでも赤字は当初の目標を超えるが、同国の景気が急速に悪化していることを考慮し、緩やかな削減を容認する格好となった。

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スペインの昨年の財政赤字はGDP比8.5%となり、目標の6%を大幅に超過した。今年については、政府は当初、GDP比4.4%まで圧縮することをEUに約束していたが、ラホイ首相は先のEU首脳会議で、5.8%に修正したことを明らかにし、理解を求めていた。

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スペインは財政赤字を2013年までに、EUの財政規律を定めた安定成長協定で上限となっているGDP比3%以内に抑えることを義務付けられている。合意した追加削減により、今年は目標より厳しいGDP比5.3%まで縮小しなければならないが、当初目標よりはハードルが低くなる。

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EUはギリシャに端を発した債務危機の再発防止策として、安定成長協定を改定し、赤字の是正や違反に対する制裁の手続きを厳格に適用することを決めた。スペインは過剰赤字を抱えている認定され、厳しい制裁を科されかねない状況にある。

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スペインをめぐっては、EUが協定の精神に則り、厳格に対処するかどうかが注目されていたが、ユーロ圏財務相会合は景気悪化で失業率が域内最高の23%に達している同国に対して、さらに厳しい緊縮を迫ると逆効果になると判断し、緩やかな削減を求めるにとどめた。

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欧州委員会のレーン委員(経済通貨問題担当)は今回の決定について、スペインが13年までに財政赤字をGDP比3%以下に収めるという最終目標は変わっていないことに言及し、「協定が骨抜きになったわけではない」と述べた。

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