2012/3/19

総合 –EUウオッチャー

EU が対イラン金融制裁を強化、国際送金網から排除

この記事の要約

EU加盟国は15日、核開発を続けるイランへの制裁強化の一環として、ベルギーに本部を置く国際的な銀行間決済ネットワーク「国際銀行間通信協会(SWIFT)」などを通じた同国への決済情報の提供を禁止することで合意した。核開発の […]

EU加盟国は15日、核開発を続けるイランへの制裁強化の一環として、ベルギーに本部を置く国際的な銀行間決済ネットワーク「国際銀行間通信協会(SWIFT)」などを通じた同国への決済情報の提供を禁止することで合意した。核開発の資金源を断つための追加的な措置で、中央銀行を含むイランの金融機関は国外からの送金を受けることが一段と難しくなり、国際的な金融取引ネットワークから事実上、締め出されることになる。

\

新たな金融制裁の対象となるのは、EUによる資産凍結の対象になっているイランの個人や企業など。EUはすでに数回にわたってイランに対する制裁を実施しており、AFP通信によると、これまでに116人の個人と442の企業や団体の資産が凍結されている。EUの決定を受けてSWIFTは同日、17日16時(現地時間)からイランの金融機関に対する情報提供サービスを停止すると発表した。

\

SWIFTは210の国と地域の1万を超す金融機関が加盟しており、国際的な銀行間決済に欠かせない情報を提供している。SWIFTのカンポス最高経営責任者(CEO)は「銀行に対するサービスの停止は前例のない事態だが、対イラン制裁の強化に向けた国際的措置の必然的な結果だ」とコメントしている。

\

対イラン制裁の先頭に立つ米国はEUの決定を歓迎している。コーエン財務次官(テロ・金融犯罪担当)は、SWIFTによるサービスの打ち切りによって「イランの銀行は国際金融界で孤立を深めることになる」と指摘。不正な核開発を続けるイランに対してさらに圧力を強める必要があるとの認識を示した。

\

一方、EUは1月にイラン産原油の禁輸を柱とする制裁措置を正式決定し、現在、関連法の策定を進めている。新規の原油輸入は即時禁止とし、既存の契約分も含めて7月1日以降は全面禁止するという内容で、このほか石油化学製品の輸入や貴金属の取引禁止も盛り込まれている。EU高官は15日、対イラン制裁に関する新法案の策定には「なお数週間を要する」と述べた。

\