2012/3/19

競争法

欧州委が通信5社に質問書送付、モバイルサービス標準化めぐり

この記事の要約

欧州の通信大手5社がモバイル通信サービスに関する問題について協議する会合を定期的に開催していることについて、欧州委員会が各社に情報提供を求めていることが14日明らかになった。サービスの相互運用を視野に入れた取り組みが、競 […]

欧州の通信大手5社がモバイル通信サービスに関する問題について協議する会合を定期的に開催していることについて、欧州委員会が各社に情報提供を求めていることが14日明らかになった。サービスの相互運用を視野に入れた取り組みが、競合他社や消費者に不利益を与える可能性を問題視しているようだ。

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欧州の携帯通信各社は、ローミング料金引き下げなどを背景に携音声通話やメッセージサービスなどの収入減に悩んでいる。またスマートフォンの普及に伴うトラフィック増加に対応するため、通信インフラのアップグレードが欧州でも課題となっているが、これに要する費用をめぐりアップルやグーグルなど米国のテクノロジー系企業に相応の負担を求める声があがっている。

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欧州の携帯電話事業者が直面するこれらの問題への対応策を協議するため、フランステレコムのリシャール最高経営責任者(CEO)の呼びかけで同社とドイツテレコム、テレコムイタリア、テレフォニカ、ボーダフォンの5社は2010年10月から定期的に会合を開催。モバイル広告やモバイル決済、新たなメッセージツールなど幅広いサービスや事業の開発における協力を進めている。

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欧州委競争総局のコロンバーニ報道官は14日、「モバイル通信分野の将来的なサービス標準化の取り決め方法などに関わる問題」に関して、5社および携帯通信事業者の業界団体であるGSMAに質問書を送付したことを明らかにする一方で、「質問書の送付はあくまで事実確認のためのステップであり、欧州委が現段階で競争法に関する懸念を抱いているわけではない」と強調した。ただ、ロイター通信によると17ページに及ぶ質問書には、5社が「他の企業や消費者に損害を与える可能性のある一致した行動」をとったとの記述があり、今後正式な調査に発展する可能性も排除できない。

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