2012/3/26

総合 –EUウオッチャー

政府調達で外国企業の参入規制へ、日米中など標的に

この記事の要約

欧州委員会は21日、EU域内の政府調達市場への外国企業の参入を規制できる制度の導入を提案した。EU企業が域外の政府調達市場で進出が妨げられた場合の報復措置として実施する考えだ。\ 提案によると、欧州の企業が繰り返し他国の […]

欧州委員会は21日、EU域内の政府調達市場への外国企業の参入を規制できる制度の導入を提案した。EU企業が域外の政府調達市場で進出が妨げられた場合の報復措置として実施する考えだ。

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提案によると、欧州の企業が繰り返し他国の政府調達市場で進出が妨げられているとの確証が得られた場合、EUは当該国の企業を、域内の500万ユーロを超える政府調達契約案件への入札から締め出すことができる。欧州ではソフトウエア企業を中心に中国の政府調達市場への参入が困難との声があがっているほか、米国と日本についても、両国とも世界界貿易機関(WTO)の政府調達協定(GPA)に加盟しているにもかかわらず外国企業の進出が進んでいないとの指摘がある。欧州委によると、EUが3,250億ユーロ相当の政府調達契約を外国企業からの入札に開放している半面、米国は1,780億ユーロ、日本は270億ユーロにとどまっている。

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提案をまとめたバルニエ委員(域内市場・サービス担当)は、「政府調達市場において数々の保護主義的措置をとっている」として米国、日本、新興諸国を批判。「EUは世界の貿易における公正さおよび相互関係を求めるべきだ」とコメントした。

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ただ、同提案をめぐっては、EU域内外から非難の声が上がっている。欧州外交当局者はロイター通信の取材に対し、「入札に参加する企業が制限されれば適正な価格が実現せず、納税者に負担を負わせることにつながる」と批判。また、呉海龍・駐EU中国大使は21日ブリュッセルで会見し、中国の調達市場はオープンで透明性が高いと強調。中国の購買担当者が国産品を選ぶのは価格や現地のニーズにあっているためであり、「より安いものを選ぶのは当然のことだ」と述べ、欧州企業が中国で不利な扱いを受けているとの批判を一蹴した。

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提案は今後、閣僚理事会と欧州議会で審議にかけられる。欧州委では2013年後半の施行を目指している。

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