2012/3/26

産業・貿易

イラン産原油輸送への保険禁止、域外向けは6月末まで適用除外

この記事の要約

EUは23日の外相理事会で、核開発を続けるイランに対する制裁の実施規則について協議し、同国産原油の輸入禁止に伴い域内の保険会社に原油取引に対する保険および再保険の引き受けを禁止する措置に関して、日本などEU域外の国への輸 […]

EUは23日の外相理事会で、核開発を続けるイランに対する制裁の実施規則について協議し、同国産原油の輸入禁止に伴い域内の保険会社に原油取引に対する保険および再保険の引き受けを禁止する措置に関して、日本などEU域外の国への輸送については6月末まで提供を認めることで合意した。7月1日以降も適用除外を続けるかどうかは5月14日の外相会議で決定する。

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EUは1月、対イラン制裁の一環として、7月1日以降は既存の契約分も含めて同国産原油の輸入を全面的に禁止する方針を決定。それに伴い、石油タンカーの衝突や原油流出などのリスクに対する保険サービスの提供も禁止することを決めた。しかし、原油輸送に絡む保険・再保険の大半は英国を中心とする欧州の保険会社が担っているため、日本などは同措置が実施された場合、イランからの輸入が滞り原油の安定的な調達が難しくなるとして、制裁免除を強く要求していた。EU内でも制裁が原油相場に及ぼす影響を懸念する声が高まり、22日の大使級協議で、EU域外への輸送分については6月末まで保険・再保険の提供を認めることで基本合意した。

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外相理での合意によると、EUがイラン産原油の禁輸措置を正式決定した1月23日以前の契約の場合、6月末までは英国などの保険会社がたとえば日本の損害保険会社などに再保険のサービスを提供することができる。ただ、適用除外によってイランに対する制裁の効果が薄れるといった意見が出ているほか、イラン産原油への依存度が相対的に高く、禁輸による原油価格の高騰で深刻な影響を受けるギリシャなどは、自国の保険会社の利益を重視する英国などに対して反発を強めており、7月以降も制裁免除が延長されるかどうかは予断を許さない。

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