2012/3/26

環境・通信・その他

スウェーデンで通信記録保持法が成立、6カ月以上の保存を義務化

この記事の要約

スウェーデン議会は21日、国内の通信会社やインターネット接続事業者(ISP)に対し、顧客の通信記録を少なくとも6カ月間保持することを義務づける法案を賛成多数で可決した。新ルールはテロや組織犯罪の捜査や告発を目的として、E […]

スウェーデン議会は21日、国内の通信会社やインターネット接続事業者(ISP)に対し、顧客の通信記録を少なくとも6カ月間保持することを義務づける法案を賛成多数で可決した。新ルールはテロや組織犯罪の捜査や告発を目的として、EUが域内の通信事業者に6カ月から2年間のデータ保持を義務づけた2006年の「電子通信データの保持に関する指令」に基づいて制定されたもので、5月1日から施行される。

\

EU加盟国はデータ保持指令に沿って2009年3月までに国内法を整備することが求められていたが、スウェーデンではプライバシー保護の観点から反対する声が根強く、法制化が遅れていた。このため欧州委員会は2010年、EU法上の義務不履行でスウェーデンに対する違反手続きを開始し、早急に法整備を進めなければ法的措置を講じると警告していた。

\

新ルールによると、すべての通信事業者は発信先の電話番号、発信時間、通話時間、発信場所、インターネットの場合はアクセスに用いた電話番号やIPアドレス、電子メールアドレスなどのデータを少なくとも6カ月間保持しなければならない。ただし、通話やメールの内容は対象とならない。通信記録にアクセスできるのは警察当局などに限定され、テロや組織化された犯罪など「重大な犯罪」の捜査や告発を目的とする場合に限ってデータの利用が認められる。

\

中央党のJohan Linander議員はスウェーデン通信(TT)の取材に対し、「データ保持指令の必要性とメリットを以ってしても、プライバシーの侵害を打ち消すことはできない」と述べ、新法の成立に遺憾の意を表明した。一方、捜査当局のトップKlas Friberg氏は「6カ月のデータ保持期間は短すぎる」と指摘。新ルールの導入によって深刻な犯罪に対する捜査能力が制限される恐れがあると警告している。

\