2012/4/2

総合 –EUウオッチャー

ハンガリーが欧州委に法改正提案、司法独立性などめぐる問題で

この記事の要約

ハンガリーの新憲法や基本法などに盛り込まれた中央銀行や司法制度の改革はEU法に抵触するおそれがあるとして、欧州委員会が同国に対する違反手続きを進めている問題で、ハンガリー政府は3月27日、司法制度に関連した法律の修正案を […]

ハンガリーの新憲法や基本法などに盛り込まれた中央銀行や司法制度の改革はEU法に抵触するおそれがあるとして、欧州委員会が同国に対する違反手続きを進めている問題で、ハンガリー政府は3月27日、司法制度に関連した法律の修正案を同委に提示した。AFP通信によると、修正案には新たに設置した司法庁(National Judicial Office)への権力集中を是正する措置などが盛り込まれているもよう。ハンガリー側はデータ保護当局の独立性に関する措置についてもすでに是正策を提出しており、欧州委が同国の対応をどのように評価するか注目される。

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オルバン政権は公共機関やメディアに対する政府の影響力拡大を図る政策を推し進めており、今年1月に司法権やデータ保護当局の独立性を脅かす内容の規定を盛り込んだ新憲法や、中銀総裁の権限縮小を柱とする中銀改革法などを相次いで導入した。EUはこれらの法律がEU法に抵触するおそれがあるとして、1月中旬に違反手続きを開始。ハンガリー政府はこれを受け、2月に関連法の修正案などを提示したが、欧州委は対応が不十分として3月7日、裁判官と検察官の定年年齢を強制的に引き下げる規定と、データ保護当局の独立性に関する措置について、それぞれ違反手続きの第2段階となる意見付き理由書を送付。1カ月以内に追加的措置を講じるよう求めていた。

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司法制度改革をめぐっては、欧州評議会の諮問機関である「法による民主主義のための欧州委員会」(通称ベネチア委員会)も22日、憲法裁判所の権限縮小や司法庁長官への権力集中を盛り込んだ新法が司法の独立性を脅かすおそれがあると警告し、ハンガリー政府に是正を勧告していた。司法庁長官は定年年齢の引き下げで退官に追い込まれる裁判官と検察官を補充する際の任命権を握っているが、ハンドー長官はオルバン首相夫婦と極めて親しい関係にあり、人事をめぐり与党などから批判が高まっている。与党フィデス=ハンガリー市民連盟のRepassy副党首は27日、国会で欧州委に提案した是正措置について答弁し、「ベネチア委員会の勧告に従い、司法庁に対する監督を強化することが法改正の目的だ」と述べた。

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