2012/4/2

総合 –EUウオッチャー

ウクライナと連携協定に仮調印、禁錮中の前首相の扱いが批准のカギに

この記事の要約

EUとウクライナは3月30日、自由貿易協定(FTA)を含む連携協定に仮調印した。ウクライナのEU加盟に向け、双方は昨年末までの協定締結を目指していたが、ティモシェンコ前首相が職権乱用罪で有罪判決を受けたことで、EU側が同 […]

EUとウクライナは3月30日、自由貿易協定(FTA)を含む連携協定に仮調印した。ウクライナのEU加盟に向け、双方は昨年末までの協定締結を目指していたが、ティモシェンコ前首相が職権乱用罪で有罪判決を受けたことで、EU側が同国の司法改革や民主化の遅れに強い懸念を表明。12月の首脳会議では調印が見送られていた。

\

EUとウクライナは2007年に連携協定の交渉を開始した。EUのファンロンパイ大統領は12月の首脳会議の終了後、締結交渉は完了したと宣言したうえで、署名・批准は「ウクライナの政治状況によって決まる」と発言。ヤヌコビッチ大統領の政敵で、ロシアとの天然ガス取引をめぐり、職権乱用罪で禁錮7年の判決を受けて控訴中のティモシェンコ前首相の扱いにかかっているとし、前首相が釈放されない限り協定締結は難しいとの認識を示していた。

\

署名を行ったウクライナのクリムキン外務次官は「EUとウクライナの関係は協力体制から政治的連携と経済的統合にシフトする」と強調。早期の協定締結に期待を寄せた。今後はEU閣僚理事会の承認を経て、双方の議会で批准手続きが進められることになる。ただ、EUは10月の最高会議(国会に相当)選挙に向けてヤヌコビッチ大統領に一層の民主化を求めており、EU外交筋からは「仮調印はEU加盟に向けたウクライナ側の機運を維持するためのポーズ」といった冷めた見方が出ている。

\