2012/4/16

環境・通信・その他

航空排出規制は「国際交渉の決裂要因」、インド環境相がEUを批判

この記事の要約

EUが今年1月から導入した航空部門に対する温室効果ガス排出規制をめぐり、域外の主要国がEUに対する反発を強めているが、インドのナタラジャン環境相は11日、EUの規制は気候変動対策に関する国際交渉を「決裂させる要因」になる […]

EUが今年1月から導入した航空部門に対する温室効果ガス排出規制をめぐり、域外の主要国がEUに対する反発を強めているが、インドのナタラジャン環境相は11日、EUの規制は気候変動対策に関する国際交渉を「決裂させる要因」になるだろうと警告した。インド政府は先月、EUのルールをボイコットする方針を表明していたが、同日付で国内の航空会社がEUのスキームに参加することを正式に禁止した。

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EUの新規制は域内の空港を離着陸するすべての航空会社に対し、排出量取引制度への参加を義務づけた。過去の実績に基づいて各社に二酸化炭素(CO2)の排出枠が設定され、排出量が枠を超えた場合は超過分の排出権を市場で購入しなければならない。実際に排出権の購入義務が発生するのは13年以降だが、新たな規制の導入によってほとんどの航空会社が新たなコスト負担を強いられるのは確実で、IATAは排出枠の購入費用が2020年までに業界全体で175億ユーロに達するとの見方を示している。

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ナタラジャン環境相はニューデリーで開かれたエネルギー資源研究所主催の会合で講演を行い、「EUによる一方的な措置は温暖化対策の国際的な枠組みを決めるための交渉を決裂させる要因になりかねず、受け入れることはできない」と強調。新規制は「気候変動を隠れみのにした一方的な貿易措置だ」と述べ、欧州委員会のヘデゴー委員(気候変動担当)にルールの見直しを求める書簡を送ったことを明らかにした。

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これに対し、欧州委のラドロン報道官は「インド政府とは異なる意見だ。航空部門による温室効果ガスの排出削減に向け、EUと同様のシステムの導入を促すことがイニシアチブの狙いだ」と強調。「CO2排出量を削減するという目的を共有しているにもかかわらず、EUの排出量取引制度が国際交渉の決裂要因になるという考え方は理解できない」とコメントしている。

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