2012/4/30

総合 –EUウオッチャー

ユーロ圏の財政赤字改善、11年はGDP比4.1%に

この記事の要約

EU統計局ユーロスタットが23日発表した財政統計によると、ユーロ圏17カ国の2011年の財政赤字は域内総生産(GDP)比4.1%となり、前年の6.2%から大幅に改善した。ギリシャなど重債務国で財政再建が進んだことが反映さ […]

EU統計局ユーロスタットが23日発表した財政統計によると、ユーロ圏17カ国の2011年の財政赤字は域内総生産(GDP)比4.1%となり、前年の6.2%から大幅に改善した。ギリシャなど重債務国で財政再建が進んだことが反映された。

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EU27カ国ベースの財政赤字はGDP比4.5%で、こちらも前年の6.5%から縮小した。国別ではハンガリー、エストニア、スウェーデンが黒字。赤字国では、スロベニア、キプロスを除いて赤字幅が縮小した。

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深刻な債務危機に陥り、EUと国際通貨基金(IMF)から緊急金融支援を受けた3カ国では、ギリシャの赤字が国内総生産(GDP)比9.1%と、なお高い水準にあるものの、前年の10.3%から改善。31.2%に達していたアイルランドは13.1%まで縮小した。ポルトガルも9.8%から4.2%まで下がった。

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一方、大きな懸念材料となっているのがスペイン。財政赤字はGDP比8.5%で、前年の9.3%から改善したものの、目標としていた6%を大幅に超過した。EUではアイルランド、ギリシャに次ぐ高水準だ。

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スペインはユーロ圏4位の経済国だけに、財政危機が拡大してEUなどに金融支援を要請する事態に陥ると、欧州、世界経済に及ぼす打撃は計り知れない。ユーロ圏の信用不安は沈静化に向かっているが、スペインに対する懸念はくすぶっており、10年物国債の利回りは6%台と、危険水域とされる7%をうかがう水準にある。

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スペイン政府は緊縮策の強化により、今年の赤字をGDP比5.3%まで圧縮することを目指している。

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