2012/5/7

総合 –EUウオッチャー

仏大統領選でサルコジ氏敗北、ユーロ圏の債務危機対応不透明に

この記事の要約

フランスで6日実施された大統領選の決選投票で、最大野党・社会党のフランソワ・オランド前第1書記(57)が現職のサルコジ大統領を下して当選した。これにより同国は財政再建から成長雇用重視へと方向転換する。また、ギリシャで同日 […]

フランスで6日実施された大統領選の決選投票で、最大野党・社会党のフランソワ・オランド前第1書記(57)が現職のサルコジ大統領を下して当選した。これにより同国は財政再建から成長雇用重視へと方向転換する。また、ギリシャで同日行われた総選挙でも、財政緊縮策を推進してきた連立与党が惨敗。ユーロ圏の債務危機打開に向けた財政再建の行方が不透明となってきた。

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仏大統領選の得票率は、海外での投票の集計を残す段階で、オランド候補が51.67%、サルコジ候補が48.33%で、オランド候補の当選が確実。サルコジ氏は6日夜、敗北宣言を行った。

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ギリシャの総選挙では、開票率95%の段階で、連立与党の全ギリシャ社会主義運動党(PASOK)と新民主主義党の得票率は32.4%と、前回(2009年)の77.4%から急落。反緊縮派の急進左派連合(SYRIZA)が16.6%を獲得し、第2党に躍進した。第1党の新民主主義党、3党のPASOKを合わせて議席の過半数を確保できるかどうか微妙な情勢だ。

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サルコジ大統領は、ギリシャに端を発した債務危機の対応で、独メルケル首相とともに「メルコジ体制」と呼ばれる強力なリーダーシップを発揮し、大きな存在感を示した。しかし、国内では財政再建に向けた厳しい緊縮策で雇用が急激に悪化。派手な私生活も不興を買って国民の不満を招き、財政再建より「ばらまき」による成長・雇用促進を掲げるオランド氏が選挙戦で常に優勢を保ってきた。社会党出身の大統領誕生は1995年以来17年ぶり。

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オランド氏は緊縮路線からの転換を打ち出しており、富裕層への課税を強化する一方、歳出を拡大し、雇用対策として教員など公務員の新規採用を増やすことなどを打ち出している。さらに、フランスを含むEU25カ国が3月に署名した財政規律強化に向けた新条約についても、経済成長を重視する方向への見直しを提唱している。

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フランスの政権交代により、EUは「メルコジ体制」が崩壊し、財政再建路線の継続が難しくなる。市場では、ギリシャの連立与党惨敗で、同国がEUに約束した財政赤字削減計画の実施が不透明になったこともあって、信用不安再燃の懸念が強まっており、7日の午前の東京外国為替市場ではユーロが急落。対ドルで3カ月ぶりの安値となっている。

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