2012/5/7

環境・通信・その他

プログラム機能は著作権保護の対象外=欧州司法裁

この記事の要約

米ソフトウエア大手のSASインスティテュートが、同社が開発したコンピュータープログラムをコピーされ著作権を侵害されたとして英同業ワールド・プログラミングを訴えていた問題で、欧州司法裁判所は2日、プログラムの機能は著作権保 […]

米ソフトウエア大手のSASインスティテュートが、同社が開発したコンピュータープログラムをコピーされ著作権を侵害されたとして英同業ワールド・プログラミングを訴えていた問題で、欧州司法裁判所は2日、プログラムの機能は著作権保護の対象とはならないとの判断を示した。

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ワールド・プログラミングは、SASインスティテュートの主力製品である「SASシステム」のコンポーネント機能をエミュレート(=特定のコンピューターやOS向けに開発されたプログラムを、異なる環境のコンピューターで使えるようにすること)した「ワールド・プログラミング・システム(WPS)」を開発。これによりSASシステムのユーザーは、SASシステム用のスクリプトをWPS上で実行することが可能になる。SASインスティテュートはワールド・プログラミングがSASシステムのマニュアルとコンポーネントをコピーしたことは著作権の侵害にあたるとして英高等法院に提訴。高等法院はこの事案を欧州司法裁に付託していた。

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欧州司法裁は、プログラムのソースコードやオブジェクトコードの著作権保護の対象となるが、ソフトウエアの根底にあるアイデアや原理には保護は及ばないと指摘するとともに、「プログラムの機能の著作権を保護することを認めることはアイデアの独占につながり、テクノロジーの進歩と産業の発展を阻害することになる」と説明。「コンピュータープログラムの機能やプログラム言語は著作権保護の対象にならない」と述べ、SASの主張を退けた。

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欧州相互運用基準委員会(ECIS)のビニエ報道官は今回の判決を受け、「欧州司法裁は、コンピュータープログラムの著作権保護が適度にバランスを保ち、競争力と相互運用性を持ったプログラムの開発が、法的責任を追求されることなく今後も続けられることを保証することによって、イノベーション、消費者、公正な競争を優先する立場を示した」と評価するコメントを発表した。

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