2012/5/14

総合 –EUウオッチャー

今年のユーロ圏成長率、マイナス0.3%=欧州委最新予測

この記事の要約

欧州委員会は11日発表した春季経済予測で、ユーロ圏の2012年の域内総生産(GDP)予想伸び率をマイナス0.3%とし、昨年秋季(11月)のプラス0.5%から大幅に下方修正した。13年については、重債務国が財政再建計画を予 […]

欧州委員会は11日発表した春季経済予測で、ユーロ圏の2012年の域内総生産(GDP)予想伸び率をマイナス0.3%とし、昨年秋季(11月)のプラス0.5%から大幅に下方修正した。13年については、重債務国が財政再建計画を予定通り実施することを前提に、プラス1%に復調するとの見通しを示した。(表参照)

\

EU27カ国ベースの予想成長率は12年が0%、13年が1.3%。12年は前回の0.6%から0.6ポイント下方修正された。

\

主要国の12年予想成長率は、ドイツが0.8%、フランスが0.5%と、前回から0.1ポイントの下方修正にとどまったが、イタリアはプラス0.1%からマイナス1.4%に引き下げられた。

\

債務危機でEUと国際通貨基金(IMF)から金融支援を受けている3カ国では、ギリシャがマイナス4.7%となり、下げ幅は前回の2.8%から大幅に拡大。ポルトガルのマイナス幅は3.3%で、前回の3%を小幅ながら上回った。アイルランドもプラス1.1%から下方修正されたものの、0.5%のプラス成長を確保するとの見通しを示した。

\

金融支援は受けていないものの、財政悪化が深刻なスペインはマイナス1.8%。前回のプラス0.7%から大きく引き下げられた。

\

注目される財政赤字については、今年はイタリア、ポルトガルなど4カ国はEUに約束した水準まで削減できるとの見通しを示した一方で、スペインは同水準を大きく超過する国内総生産(GDP)比6.4%に達すると予想。このほか、フランスは同4.5%と目標を達成できるものの、13年は目標水準を超過する同4.2%になると予想している。

\

ユーロ圏では依然として信用不安がくすぶっているほか、その解消に向けた厳しい緊縮策が景気を押し下げている。先のフランス大統領選、ギリシャ議会選では緊縮策に対する国民の不満が反映される結果となった。しかし、欧州委のレーン委員(経済通貨問題担当)は「健全な財政が持続的成長の条件」として、各国が引き続き財政再建を進める必要性を強調した。

\