2012/5/14

総合 –EUウオッチャー

スペインが大手銀バンキアを国有化、不良債権処理の新対策も発表

この記事の要約

スペイン政府は10日、大手銀行バンキアを一部国有化すると発表した。経営不振の深刻化を受けたもので、すでに注入していた44億6,500万ユーロの公的資金を証券化する形で株式の45%を握り、事実上国有化する。さらに11日には […]

スペイン政府は10日、大手銀行バンキアを一部国有化すると発表した。経営不振の深刻化を受けたもので、すでに注入していた44億6,500万ユーロの公的資金を証券化する形で株式の45%を握り、事実上国有化する。さらに11日には、全銀行を対象とした新たな不良債権計画を発表した。

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スペインの銀行は2008年の不動産バブル崩壊で大きな打撃を受けた。さらにギリシャを震源地とする信用不安が追い討ちをかけ、厳しい経営が続いており、不良債権処理も進んでいない。こうした状況が、債務危機で揺れる国内金融市場に対する不安を増幅させていることから、政府は不良債権処理の追加措置に踏み切った。

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国有化されるバンキアは、預金額ベースで国内シェア10 %を握るスペイン4位の銀行。不動産バブル崩壊で大きな打撃を受けた「カハ」と呼ばれる貯蓄銀行7行が、政府の主導で2010年に合併して誕生した。

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同行はスペインの不動産バブル崩壊で最も大きな痛手を受けた銀行で、2011年末時点の不動産絡みの不良債権は318億ユーロに上る。同行は政府の支援を受けながら経営再建を図ってきたが、債務危機と景気停滞で経営が一段と悪化。公的融資の返済が不能となり、14日にラト会長が辞意を表明する事態に追い込まれていた。

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政府は同行に新たな経営再建策をまとめさせた上で、必要な資金を追加で注入する方針だ。

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全銀行の不良債権処理計画では、すでに命じていた538億ユーロの引当金を300億ユーロ上積みし、引当率を現在の平均7%から30%に引き上げる。また、不動産関連の不良債権を年内にバランスシートから切り離して処理させることも決めた。

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各銀行は、引当金をどのように上積みするかについて、1カ月以内に計画を提示することを求められる。独自の上積みが不可能な場合は、政府が約150億ユーロの支援枠を設けて、年利10%で融資する。

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今回の追加対策に関しては、不十分との見方が多く、11日の株式市場で銀行株は下落。スペインの10年物国債の流通利回りも一時、6%を超えた。

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