2012/5/28

総合 –EUウオッチャー

ギリシャのユーロ残留確認、成長・雇用対策は成果なし=EU臨時首脳会議

この記事の要約

EU27カ国は24日にブリュッセルで開いた臨時首脳会議で、ギリシャをユーロに残留させることを確認した。ただ、焦点となっている成長・雇用促進策については成果がなく、具体的な協議を6月の首脳会議に持ち越した。\ 信用不安の震 […]

EU27カ国は24日にブリュッセルで開いた臨時首脳会議で、ギリシャをユーロに残留させることを確認した。ただ、焦点となっている成長・雇用促進策については成果がなく、具体的な協議を6月の首脳会議に持ち越した。

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信用不安の震源地となっているギリシャでは、先の総選挙で財政健全化に向けた緊縮策を推進する旧与党が大敗。反緊縮派が国民の支持を集めて躍進した。連立工作に失敗したことから6月17日に再選挙が実施されるが、反緊縮派による政権が発足した場合は、EUと国際通貨基金(IMF)に金融支援の条件として約束した緊縮策の見直しに着手する。これがEUとの対立を招くのは必至で、同国のユーロ離脱がささやかれている。

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EUのファンロンパイ大統領(欧州理事会常任議長)は、臨時首脳会議終了後の記者会見で、「ギリシャが約束を守る限り、我々はギリシャを支え続ける」と述べ、ギリシャが財政再建策を予定通り進めることを前提に、ユーロ残留を求めることで合意したことを明らかにした。

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今回の臨時首脳会議はファンロンパイ大統領の呼びかけで開催された。ユーロ圏の信用不安解消に財政緊縮一辺倒で臨む現行路線にギリシャ、フランスなどが反発していること受け、財政再建を進めながら成長、雇用も確保するための方策を協議するのが目的だった。

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成長・雇用戦略については、民間企業によるインフラ投資を促進するため、企業が発行する債券をEUと欧州投資銀行(EIB)が保証する「プロジェクト債」制度を今夏に試験的に導入することや、EU構造改革基金の活用拡大などを打ち出した。6月の首脳会議で具体化する。しかし、大きな注目点となっていた「ユーロ共同債」構想については進展がなかった。

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ユーロ共同債構想は、国債利回りが急上昇して単独での資金調達が困難となっている国を支援するため、ユーロ圏17カ国が共同で債券を発行するというもの。重債務国がドイツなどの信用力を利用して資金を調達できるようにする狙いがある。昨年11月に欧州委員会が具体案を発表した。

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同案をめぐっては、フランスなどが強く支持しているが、ドイツは放漫財政の国に対する同国の追加支援につながるとして難色を示している。今回の首脳会議では仏オランド新大統領が実現を求めたが、メルケル首相との溝が埋まらず、突っ込んだ協議は行われなかった。

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