2012/6/11

総合 –EUウオッチャー

シェンゲン協定見直しで合意、EUの承認なしで出入国審査復活可能に

この記事の要約

EU加盟国は7日の内相理事会で、EU加盟国などが国境審査を廃止し、域内をパスポートなしで移動できるようにする「シェンゲン協定」の見直しで合意した。ある国が出入国審査を復活する場合の規制を緩和し、各国がEUの承認なしで長期 […]

EU加盟国は7日の内相理事会で、EU加盟国などが国境審査を廃止し、域内をパスポートなしで移動できるようにする「シェンゲン協定」の見直しで合意した。ある国が出入国審査を復活する場合の規制を緩和し、各国がEUの承認なしで長期にわたって同措置を実施できるようにする。

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人の自由な移動を認めるシェンゲン協定は欧州統合の象徴となっているが、アラブの春と呼ばれる中東、北アフリカ諸国の政変をきっかけに、同地域からイタリアやフランスに大量の移民や難民が流入していることから、EUは昨年の首脳会議で、「例外的な状況」に限り、各国が国境審査を復活できるようにすることで合意していた。

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欧州委員会が11月にまとめた協定見直しの原案は、不法移民の大量流入など不測の事態が生じた場合、加盟国が事前に欧州委と他の加盟国の承認を得ることを条件に、一時的に出入国審査を復活できるという内容だった。しかし、その後にトルコを経由してギリシャに流入するアフガニスタン、パキスタン、バングラディシュの不法移民が急増したことから、ドイツとフランスなどが規制緩和を要求。これを受けて理事会では、他の加盟国の承認は必要とするものの、欧州委の承認なしで出入国審査を復活できる案を採択した。復活の期間も当初6カ月、最長2年間の延長が可能と、当初の想定より長期の実施を認めることになった。同ルールは欧州議会の承認を経て実施される。

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シェンゲン協定には現在、英国、アイルランド、ルーマニア、ブルガリア、キプロスを除くEU諸国とノルウェー、アイスランド、スイス、リヒテンシュタインの計26カ国が参加している。

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