2012/6/11

産業・貿易

欧州自動車産業の振興策提言、R&D支援・規制合理化など

この記事の要約

欧州委員会は6日、欧州自動車産業の競争力強化と持続的な発展を推進するための施策や規制の枠組みについて勧告するハイレベル会合「CARS 21」の報告書を公表した。2020年に向けた包括的ビジョンとして、自動車産業が引き続き […]

欧州委員会は6日、欧州自動車産業の競争力強化と持続的な発展を推進するための施策や規制の枠組みについて勧告するハイレベル会合「CARS 21」の報告書を公表した。2020年に向けた包括的ビジョンとして、自動車産業が引き続き戦略的に重要なセクターとして欧州内に生産拠点を置き、最先端の技術力を維持して輸出を伸ばす必要があると指摘。EUが中心となって取り組むべき課題として、環境対応車を普及させるためのインフラ整備、欧州投資銀行(EIB)を通じた研究・開発(R&D)の奨励、国際競争力を維持しながら二酸化炭素(CO2)排出削減を推進するための「スマート・レギュレーション(合理的で効果的な規制)」の導入などを挙げている。欧州委はCARS 21の勧告を踏まえ、今秋をめどに自動車産業を支援し成長を促すための行動計画をまとめる。

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05年に発足したCARS 21は欧州委、EU加盟国、自動車業界、労働組合、消費者団体などの代表で構成され、欧州自動車産業が競争力を維持しながら安全で環境性能の高い自動車を実現するため、中・長期的な政策や規制の枠組みについて勧告をまとめている。報告書は20年に向けてEUが取り組むべき優先課題として◇電気自動車、水素自動車、バイオ燃料車などの普及を促進するためのインフラ整備◇電気自動車の急速充電の規格標準化◇野心的かつ実現可能なCO2削減目標の設定◇通商政策を通じた関税および非関税障壁の撤廃◇自動車の構造及び装置の安全・環境に関する統一基準の制定と相互承認を目的とした国連欧州経済委員会(UN/ECE)基準(通称1958年協定)の改革――などを挙げている。

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欧州委はこれらの勧告を実現するため、自動車産業への支援策を盛り込んだ行動計画の策定を進め、新たに「CARS 2020 グループ」と名付けた専門部会を立ち上げて進捗状況をチェックする。具体的には1) 次世代エンジンなど先端技術のR&D活動に対するEUの資金支援とEIBによる融資の強化 2) スマート・レギュレーションの適用による業界全体のコスト管理 3) 通商交渉を通じた市場アクセスの改善や、世界共通の車種認証を最終目的とする規制や手続きの調和を通じた自動車産業の国際化の支援 ――などの措置が行動計画の柱となる。

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