2012/6/11

産業・貿易

欧州議会・経済委が住宅ローン規制案承認、返済能力の審査強化など柱

この記事の要約

欧州議会経済金融委員会は7日、住宅ローン市場の規制改革案を賛成多数で承認した。借り手がローンの返済に行き詰まって家を手放したり、深刻な金銭的困難に陥るといった事態を防ぐため、融資にあたり金融機関に返済能力の厳格な審査を義 […]

欧州議会経済金融委員会は7日、住宅ローン市場の規制改革案を賛成多数で承認した。借り手がローンの返済に行き詰まって家を手放したり、深刻な金銭的困難に陥るといった事態を防ぐため、融資にあたり金融機関に返済能力の厳格な審査を義務づけることなどが柱。近く欧州議会本会議で採決を行い、その後、EU閣僚理事会で法案について検討する。

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欧州委員会は2011年3月、金融市場の安定化に向けた取り組みの一環として、消費者保護に重点を置いた住宅ローン市場に関する新たな規制案を打ち出した。これによると、借り手が収入を証明する書類を提出する必要のない「自己証明」の住宅ローンは廃止され、信用力審査で不合格となった場合、金融機関は融資を行うことができない。また、住宅ローンが長期の借入れにかかわる重要な契約であることから、金融機関や住宅ローン仲介業者(ブローカー)は消費者が契約内容を正確に理解できるよう、契約締結前に必要なすべての情報を網羅的に提供しなければならず、一方、借り手側は契約締結から14営業日以内であれば無条件で契約を解除することができる。

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さらに期限前償還の条件や、その際に金融機関やブローカーが徴収できる手数料などについても規定しており、原則として3カ月以内の事前通告で期限前償還が可能なことや、消費者が支払う手数料はローン残債の1%以下とすることなどが定められている。規制案にはこのほか、金融機関からブローカーへの手数料の有無などの情報開示、住宅ローンと保険など他の金融商品の抱き合わせ販売の禁止などが盛り込まれている。

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一連のルールは消費者保護を目的とした既存のEU指令などに基づき、すでに多くの国で導入されている。しかし、EU共通の規制の枠組みを整備することで、金融機関が返済能力のある消費者にのみ融資する仕組みが確立され、途中でローンを返済できなくなって家を失ったり、無理な返済のため深刻な金銭的困難に見舞われるといったケースが大幅に減ると考えられている。

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