2012/6/25

環境・通信・その他

欧州議会国際貿易委がACTA批准案を否決、7月初旬に本会議で採決へ

この記事の要約

欧州議会の国際貿易委員会(INTA)は21日、知的財産権の執行のための国際的な枠組みとなる「模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA)」について採決を行い、賛成12票、反対19票で批准案が否決された。欧州議会ではこれまでに司 […]

欧州議会の国際貿易委員会(INTA)は21日、知的財産権の執行のための国際的な枠組みとなる「模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA)」について採決を行い、賛成12票、反対19票で批准案が否決された。欧州議会ではこれまでに司法委員会や産業委員会など、4つの委員会で批准案が否決されている。各委員会の投票結果に拘束力はないが、7月4日に予定される本会議の採決でも反対票が賛成票を上回る公算が大きい。

\

ACTAは模倣品や海賊版の増加に歯止めをかけるため、日本と米国が2006年に提唱した構想で、昨年 10月に日本、米国、カナダ、韓国、シンガポール、豪州、ニュージーランド、モロッコの8カ国が署名。今年1月にはEUおよび域内22カ国が条約に署名した。しかし、条約に盛り込まれたインターネット上における知的財産権侵害対策をめぐり、プライバシーや言論の自由といった基本的権利が制限されることへの懸念から、市民の間でACTAに反対する抗議運動が広がり、一部の加盟国は批准手続きを凍結。欧州議会でも条約に反対する意見が大勢を占めている。このため欧州委員会は4月初め、EU司法裁判所にACTAがEU法に合致しているかどうかの判断を求めると共に、欧州議会に対して裁判所の見解が出るまで採決を見送るよう要請していた。

\

INTAは今回、欧州議会本会議での採決延期についても否決しており、7月3日の審議を経て、4日に採決が行われる見通しとなった。デイビッド・マーチン欧州議員は「INTAがACTAの問題点を認識し、条約否決の勧告が支持されたことを歓迎する」とコメントしている。

\