2012/6/25

環境・通信・その他

人身売買取り締まり強化、EUが5カ年戦略を発表

この記事の要約

欧州委員会は19日、EU域内で増加している人身売買の取り締まりを今年から5年間(2012~16年)で強化する方針を明らかにした。加盟各国の警察に専門部署を設置するほか、国境を越えた事件に対応するEUの新組織を創設する。ま […]

欧州委員会は19日、EU域内で増加している人身売買の取り締まりを今年から5年間(2012~16年)で強化する方針を明らかにした。加盟各国の警察に専門部署を設置するほか、国境を越えた事件に対応するEUの新組織を創設する。また、各国政府は2013年4月までに、新たな人身売買規制法を整備することになる。

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欧州刑事警察機構(ユーロポール)によると、域内における人身売買はここ数年で増加している一方、有罪判決を受ける人数は減少している(2008年に1,500人、2010年に1,250人)。域内各国および国連薬物犯罪事務所(UNODC)の推計によれば、域内で保護された被害者の約75%が性的搾取の目的で取引されており(2008年は70%、2010年は76%)、14%が強制労働、3%が物乞い、1%が家庭内での強制労働をさせられていた。2008年から2010年までの被害者の79%は女性で、うち12%が子供だった。EU域内で保護される被害者の大半は域外出身者だが、域内での取引も増加傾向にある。

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世界各地の国際犯罪組織が人身売買で得る利益は年間250億ユーロに上ると推測され、組織的な物乞いや万引きなど、犯罪行為を強いられる未成年者は、一人2万ユーロ前後で売買されているという。国際労働機関(ILO)によれば、被害者は世界で年間約2,090万人(うち子供が550万人)。外国に連れら去られた人は、約900万人に上る。

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人身売買の目的には、未成年労働、強制結婚、非合法の養子縁組、売春などの労働搾取と性的搾取、売却のための臓器摘出などが含まれる。

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