2012/7/2

総合 –EUウオッチャー

スペイン・キプロスがEUに支援要請、債務危機新たな正念場に

この記事の要約

金融・債務危機に陥っているキプロス政府は6月25日、EUに金融支援を要請した。同日にはスペインも支援を正式に要請。これによりユーロ圏で債務危機絡みでEUへの支援要請を迫られた国はギリシャ、アイルランド、ポルトガルをあわせ […]

金融・債務危機に陥っているキプロス政府は6月25日、EUに金融支援を要請した。同日にはスペインも支援を正式に要請。これによりユーロ圏で債務危機絡みでEUへの支援要請を迫られた国はギリシャ、アイルランド、ポルトガルをあわせた計5カ国となり、ユーロ危機は新たな正念場を迎えた。

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スペインは不動産バブル崩壊の影響で国内銀行が巨額の不良債権を抱えている。財政不安に直面する政府は、公的資金だけでは銀行を支えきれないことから、6月初旬にEUへの支援要請を決定し、ユーロ圏17カ国は最大1,000億ユーロの支援を行うことで合意。政府は25日に支援を正式に要請することになっていた。

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一方、キプロスは欧州債務危機の発端となったギリシャとの経済的関係が深く、多額のギリシャ向け債権を保有している国内銀行の経営が急速に悪化。政府も財政危機にあり、国債発行で資金を調達できない状況にある。政府はEUが域内銀行に義務付けた資本増強の完了期限が7月1日に迫る中、2位銀行のキプロス・ポピュラー銀に国内総生産(GDP)の約10%に相当する18億ユーロの支援が必要となっていることもあり、支援要請に踏み切った。

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スペインへの支援は、財政ではなく国内銀行救済のために投入される。支援要請額は不明だが、政府が民間コンサルタント会社に委託した国内銀行の監査によると、総額620億ユーロの資本不足に陥っている。支援額および融資条件など詳細は、7月9日に開かれるユーロ圏財務相会合で協議される。

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キプロスの支援要請額も不明だが、同国のメディアは50億ユーロ程度と報じている。シアルリス財務相によると、EUによる支援は国内銀行への資本注入だけでなく、財政支援にも回す予定。

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