2012/7/2

産業・貿易

対韓FTA発効から1年、EUの輸出35%拡大

この記事の要約

EUと韓国との自由貿易協定(FTA)発効から7月1日で1年を迎えた。EUがアジア諸国と結んだ初のFTAは、コメなど一部の例外を除き、自動車、医薬品、電気製品、農産品など広範な分野で双方が段階的に関税の撤廃を目指すという内 […]

EUと韓国との自由貿易協定(FTA)発効から7月1日で1年を迎えた。EUがアジア諸国と結んだ初のFTAは、コメなど一部の例外を除き、自動車、医薬品、電気製品、農産品など広範な分野で双方が段階的に関税の撤廃を目指すという内容で、工業製品と農産品に適用される輸入関税のうち、2016年7月までに金額ベースで98.7%、31年7月には99.9%の関税が撤廃される見通し。すでに昨年7月のFTA発効時に幅広い品目の関税が即時撤廃されており、欧州委員会はEU企業が協定発効から最初の9カ月に3億5,000万ユーロの恩恵を受けたと試算している。

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EUはFTA発効から3年以内に工業製品の99%、韓国は同96%に対する関税を廃止することで合意している。協定の経済効果を評価するため、欧州委が昨年7月-今年3月の貿易額を過去4年間の統計と比較したところ、EUから韓国への輸出は07年以降、67億ユーロ(35%)拡大した。ユーロ安がユーロ圏からの輸出を後押しした結果、韓国以外への輸出もこの間に25%拡大したが、韓国向けの伸びは全体の平均を大きく上回っており、このことは早くも初年度にFTA効果が出たことを示唆している。

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カテゴリー別にみると、協定発効時に関税が即時撤廃されたワイン、繊維製品、衣料品、一部の化学製品、鉄鋼製品などは韓国向けの輸出が27億ユーロ(46%)拡大。関税が一部引き下げられた自動車や農産品なども輸出が30億ユーロ(36%)拡大したが、従来と同じ税率が維持されている一部の農産品などは10億ユーロ(23%)の伸びにとどまった。品目別では120%増を記録した豚肉を筆頭に、皮製バッグ(90%増)、半導体製造装置(75%増)、自動車(70%増)などが大きく輸出を伸ばしている。

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欧州委のデフフト委員(通商担当)は「対韓FTAの成果はEUの通商政策が正しい方向に進んでいることを示している。新世代の貿易協定は欧州の成長戦略にとって重要な柱となるものだ」と強調。韓国側との定期的な協議を通じ、サービス、投資、公共調達などの分野でも相互に市場開放を進め、非関税障壁の撤廃を目指す必要があると指摘している。

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