2012/7/9

総合 –EUウオッチャー

ECBが7カ月ぶりの利下げ、金利は史上最低の0.75%に

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)は5日に開いた定例政策理事会で、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を0.25ポイント引き下げ、史上最低水準となる年0.75%とする引き下げることを決めた。信用不安による動揺が続くユーロ圏経済 […]

欧州中央銀行(ECB)は5日に開いた定例政策理事会で、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を0.25ポイント引き下げ、史上最低水準となる年0.75%とする引き下げることを決めた。信用不安による動揺が続くユーロ圏経済を下支えするため、昨年12月以来7カ月ぶりの利下げに踏み切った。これによりユーロ圏の金利は初めて1%台を割り込んだ。

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理事会では同時に、民間金融機関が手元資金をECBに預け入れる際の金利(オーバーナイト金利)も0.25%から0%に引き下げた。信用不安で行き場を失った資金がECBの預金に殺到していることを受けたもの。これによって銀行間融資を増やし、市中への資金供給が拡大することを目指す。

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ECBはドラギ総裁体制となった直後の昨年11月に2年6カ月ぶりの利下げ(0.25ポイント)を実施。12月にも同率の利下げを行い、金利は過去最低水準と並ぶ1%まで引き下げた。その後は、長期資金を大量供給したこともあり、金利を据え置いてきたが、ユーロ圏経済の低迷が深刻化していることから、理事会メンバーの全会一致で追加利下げを決めた。ユーロ圏のインフレ率が2.4%と、上限目標を超えているものの、低下傾向にあることも考慮した。

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ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、景気動向について「引き続き下振れリスクがある」とコメント。とくに南欧諸国での債務危機長期化、銀行の資金繰り悪化を不安材料に挙げ、最悪期を過ぎた後の景気回復も緩やかなペースにとどまるとの見通しを示した。ただ、追加の金融緩和については、今回の理事会で議題とならなかったことを明らかにし、当面は様子見に徹する姿勢を示した。

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ECBは景気、銀行の資金繰り対策として金利調整のほか、12月と2月末に計1兆ユーロの長期資金を供給。また2010年5月から、ギリシャの財政危機で動揺した金融市場を支えるため、財政悪化国の国債を流通市場で買い取るという異例の措置を実施しているが、ここ4カ月は買い入れを中止している。

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市場は追加利下げを織り込み済みで、ドラギ総裁が長期資金の供給、国債買い取りの再開に言及するかどうかに注目が集まっていた。総裁の発言は期待を裏切った格好で、ユーロ圏主要国の株価は下落。スペイン、イタリアの10年物国債の流通利回りも上昇した。

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