アイルランド政府は5日に実施した短期国債の入札で、予定通り5億ユーロを調達した。新規国債の発行による市場での資金調達は、債務危機でEUなどから金融支援を受けてから初めてで、危機脱却に向けた取り組みが軌道に乗った格好となった。
\発行したのは3カ月物国債。需要は好調で、応募は募集額の2.8倍に達した。落札利回りは1.8%と、前週にスペイン、イタリアが実施した3カ月物国債入札の2.36%、2.96%を大きく下回った。
\アイルランドは2010年末にEU、国際通貨基金(IMF)から総額675億ユーロの緊急融資を取り付けた。同じく支援を受けているギリシャ、ポルトガルと比べて財政再建が順調に進んでおり、今年1月に既発国債と新発債との交換に成功して資本市場への復帰を果たしたが、通常の入札による調達は初めて。ヌーナン財務相は「回復に向けた重要な一歩だ」と述べた。
\アイルランドは前週末のEU首脳会議で新たな信用不安対策が打ち出されたことで市場が好転したタイミングを狙って、短期国債の入札を再開した。市場の動向をにらみながら、年内の中・長期国債発行も目指すとみられる。
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