2012/7/9

環境・通信・その他

電力会社への無償排出枠、チェコなど3カ国の申請認可

この記事の要約

欧州委員会は6日、EU排出量取引制度(EU-ETS)で2013年から導入されるオークション方式による排出枠の配分に関連して、ブルガリア、チェコ、ルーマニアから申請のあった発電部門に対する例外措置を認める決定を下した。3カ […]

欧州委員会は6日、EU排出量取引制度(EU-ETS)で2013年から導入されるオークション方式による排出枠の配分に関連して、ブルガリア、チェコ、ルーマニアから申請のあった発電部門に対する例外措置を認める決定を下した。3カ国は国内の電力会社に対し、19年まで引き続き無償排出枠を割り当てることができる。

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EU-ETS第3期間(13-20年)に向けた制度改正により、発電部門は原則として13年から100 %オークションによる有償割当に移行するが、石炭など化石燃料への依存度、送電網の相互接続状況、国民1人当たりのGDPなどの基準に基づき、中・東欧10カ国はオークションへの全面移行を20年とする例外措置が認められた。欧州委に対して昨年9月末までに適用除外を申請したのはこのうち8カ国で、すでにキプロス、エストニア、リトアニアは5月に例外措置の適用が認められている。

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欧州委によると、6カ国が13-19年に既存の発電施設に配分できる無償排出枠は合わせて約2億6,820万トン。国別ではチェコの1億980万トンを筆頭に、ルーマニア(7,140万トン)、ブルガリア(5,420万トン)、エストニア(2,120万トン)と続いている。欧州委は適用除外を申請した8カ国のうち、残るハンガリーとポーランドについても近く無償排出枠を最終決定する方針。なお、ラトビアとマルタも適用除外の条件を満たしているが、両国は無償配分の申請を行っていない。

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EU-ETSの第1期間では全体の95%、第2期間でも90%の排出枠が対象施設に無償で割り当てられてきたが、第3期間から段階的にオークションによる有償割当への移行を進め、27年までに全面移行することが決まっている。発電部門については電力需要の90%以上を石炭発電に依存するポーランドなどの強い抵抗で、13年からの全面移行に例外措置が設けられたが、適用除外の対象国でも13年に05-07年の排出実績の30%以上を有償割当とし、段階的にこの比率を高めて20年までに全面移行しなければならない。また、これらの国では無償配分される排出枠の市場価値に相当する額を電力インフラの整備や技術開発、エネルギー供給源の多様化などに投資することが義務づけられている。

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