2012/7/16

総合 –EUウオッチャー

スペインに300億ユーロの支援実施、ユーロ圏財務相会合で合意

この記事の要約

ユーロ圏17カ国は9日の財務相会合で、国内銀行救済のためEUに金融支援を要請しているスペインに対して、月内に300億ユーロの支援を実施することで合意した。最大1,000億ユーロに上る支援の第1弾として、当面のつなぎ資金を […]

ユーロ圏17カ国は9日の財務相会合で、国内銀行救済のためEUに金融支援を要請しているスペインに対して、月内に300億ユーロの支援を実施することで合意した。最大1,000億ユーロに上る支援の第1弾として、当面のつなぎ資金を提供する。会合では同時に、スペインの財政均衡達成期限を1年延長することでも合意した。一連の決定は、翌日のEU財務相理事会で承認された。

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スペインの銀行は、不動産バブル崩壊に伴って巨額の不良債権を抱えている。ギリシャを震源地とする信用不安がスペインに飛び火したことで、同国の財政が悪化し、単独での公的支援に限界があることから、政府は6月25日、EUに支援を正式要請していた。

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ユーロ圏はスペインに最大1,000億ユーロの支援を行うことで合意済みだった。銀行のストレステスト(健全性審査)が完了し、必要な支援額が固まるのが9月になることから、当面の資金需要を満たすため、第1弾として300億ユーロの支援を実施することを決めた。支援の総額、条件など詳細は7月20日に決まる見込み。

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EUは先月末の首脳会議で、財政危機に直面するユーロ参加国に緊急金融支援を行う「欧州金融安定基金(EFSF)」または7月に発足する予定の欧州安定メカニズム(ESM)」が、各国の銀行に政府を通さず直接支援できるようにすることで合意したが、ユーロ圏の銀行監督を一元化することが前提となっている。このため、スペインの銀行への支援は、政府の銀行再編基金(FROB)が窓口となって資金を受け取り、その管理下で各銀行に資本注入する形となる。支援の条件として、対象銀行が厳しい経営再建策の実施を迫られるほか、政府も各行が保有する不良資産を「バッドバンク」と呼ぶ受け皿機関に切り離し、処理を進めることを求められる見通しだ。

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一方、スペインの財政赤字をめぐっては、政府は2013年までに、EUの財政規律を定めた安定成長協定で上限となっている国内総生産(GDP)比3%以内に抑えることを約束していた。しかし、景気悪化によって昨年の赤字がGDP比8.9%と、目標の6%を上回るなど、財政改善が難航している。このためユーロ圏財務相会合は、GDP比3%以下に削減する期限を2014年に延長することを容認した。同会合の議長であるルクセンブルクのユンケル首相兼財務相によると、新たなスケジュールでは、スペインは赤字を今年はGDP比6.3%、13年は4.5%、14年は2.8%まで圧縮することを求められる。

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スペインが追加緊縮策発表、VAT増税など

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一方、スペイン政府は11日、財政再建に向けた追加緊縮策を発表した。付加価値税(VAT)増税、歳出削減により、向こう2年半で財政赤字を650億ユーロ削減する。

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ラホイ首相が議会で明らかにしたところによると、VATの標準税率を18%から21%に引き上げる。また、公務員や国会議員の給与削減、政党・労組への助成金削減、住宅購入への減税措置廃止、失業手当ての削減などによる歳出削減、港湾・鉄道・空港の民営化なども実施する。

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