2012/7/16

競争法

ケメットによるNECトーキンの経営権取得を認可

この記事の要約

欧州委員会は12日、米電子部品大手ケメットが日本電気(NEC)の100%子会社でコンデンサー製造を中核とするNECトーキンの経営権を取得する計画を認可したと発表した。ケメットとNECトーキンは共にノートパソコンや携帯電話 […]

欧州委員会は12日、米電子部品大手ケメットが日本電気(NEC)の100%子会社でコンデンサー製造を中核とするNECトーキンの経営権を取得する計画を認可したと発表した。ケメットとNECトーキンは共にノートパソコンや携帯電話などに使用されるタンタルコンデンサーの製造を手掛け、両社を合わせた市場シェアは世界トップの30%超となる。しかし、同分野では常に複数のライバルによる激しい競争が展開されているため、両社の資本提携を認めても欧州コンデンサー市場で著しく競争が阻害される恐れはないと判断した。

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NECトーキンは導電性高分子系タンタルコンデンサーの世界的サプライヤーで、特にノートパソコンや携帯電話など小型電子機器市場で業界をリードしている。しかし、昨年のタイ洪水で生産拠点が被災したことから、NECは今年に入り、トーキンの財務基盤を強化するため同社の売却を検討すると表明。今年3月にケメットが5,000万ドルを出資してトーキンの筆頭株主となることで合意し(議決権ベースの出資比率はケメットが51%、NECが49%)、6月7日付で欧州委に同計画の認可を申請していた。

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ケメットはタンタルコンデンサーの製造に用いられるタンタル粒子の有力サプライヤーでもあるため、欧州委はこの点も考慮してNECトーキンの経営権取得を認めた場合の影響について詳細に分析を進めていた。その結果、資本提携に伴うタンタルコンデンサー市場でのシェア拡大は「限定的」で、両社は引き続き有力なライバルとの競争にさらされるため、計画を認めても公正な競争が維持されると結論づけた。

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