2012/7/16

環境・通信・その他

20年までの排ガス規制案を発表、乗用車は3割削減

この記事の要約

欧州委員会は11日、乗用車と軽商用車の二酸化炭素(CO2)排出量を2020年までに現在の水準と比べてそれぞれ約30%、20%削減することを義務づける新たな規制案を発表した。EUはすでに15年までの削減目標を定めた排ガス規 […]

欧州委員会は11日、乗用車と軽商用車の二酸化炭素(CO2)排出量を2020年までに現在の水準と比べてそれぞれ約30%、20%削減することを義務づける新たな規制案を発表した。EUはすでに15年までの削減目標を定めた排ガス規制を導入しているが、20年までにEU全体で温室効果ガス排出量を1990年比で20 %削減するという公約の実現に向け、現行規則を改正して新たに20年を期限とする削減目標の達成をメーカーに義務づける。欧州議会と閣僚理事会の承認を経て新ルールを導入する。

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EU域内で販売される乗用車(新車)のCO2排出量は11年時点で走行1キロ当たり平均135.7グラム。現行規則は15年までにこれを130グラムに削減する義務的数値目標を掲げ、06年の排出実績に基づいてメーカーごとに排出枠を設定して削減できなかった場合は超過分に制裁金を科すと定めている。欧州委の提案によると、各メーカーは20年までに乗用車のCO2排出量を走行1キロ当たり平均95グラム以下に抑えなければならない。一方、14年から導入される軽商用車の排ガス規制も強化され、各メーカーは10年の平均181.4グラムを17年に175グラム、20年に147グラムまで削減することを義務づけられる。

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20年を期限とする数値目標は現行規則にも盛り込まれているが、欧州委は詳細な現状分析の結果、技術やコスト面から目標達成は十分に可能と判断。技術革新によって欧州自動車産業の競争力強化や雇用拡大につながると指摘し、拘束力のある数値目標としてメーカーに達成を義務づけることを提案している。

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欧州委によると、20年以降に新たな排ガス基準を満たした新車(乗用車)を購入した場合、最初の1年間に燃料代を340ユーロ節約することができ、自動車の平均使用年数とされる13年間では累計2,904-3,836ユーロの節約が可能。EU全体では年間300億ユーロの燃料代を節約することができ、域内GDPを120億ユーロ押し上げると試算している。一方、燃費向上で燃料の使用量は30年までに原油換算で1億6,000万トン抑制され(現在の価格水準で約700億ユーロ相当)、4億2,000万トンのCO2排出削減につながると分析している。

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欧州委の提案に対し、欧州自動車工業会(ACEA)のホダッチ事務局長は声明で「世界で最も厳しい目標だ」と指摘。「欧州における自動車生産のコスト負担が増し、国際競争力の低下を招く」と批判している。

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