2012/7/23

総合 –EUウオッチャー

ECBがギリシャ国債の担保資格停止、「トロイカ」調査完了後に適格性評価

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)は20日、ギリシャの国債や政府保証債について、ECBによる資金供給オペの担保として認めない方針を明らかにした。25日から「当面の間」、担保対象から除外し、EU、ECB、国際通貨基金(IMF)の3機関 […]

欧州中央銀行(ECB)は20日、ギリシャの国債や政府保証債について、ECBによる資金供給オペの担保として認めない方針を明らかにした。25日から「当面の間」、担保対象から除外し、EU、ECB、国際通貨基金(IMF)の3機関で構成する「トロイカ」による財政改革の進捗に関する調査が完了した段階で担保の適格性を判断する。

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ECBは今年2月、米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がギリシャ長期国債の格付けを「選択的デフォルト」に引き下げたことを受け、同国国債を資金供給オペの担保資格を一時停止した経緯がある。今年に入り2度目となる同措置により、ギリシャの銀行は自国の国債を担保にECBから資金を借りることができなくなり、今後は「緊急流動性支援(ELA)」と呼ばれるプロセスに基づいて、自国の中央銀行に資金供給を要請することになる。ただし、実施にはECB政策理事会の承認が必要なうえ、ELAによる融資ではECBより金利が高く設定されている。

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トロイカの代表団は現在、ギリシャで財政改革の進捗状況について審査を進めており、今週中に調査が完了する見通し。ECBは今回の措置について、担保の資格停止は「25日で債権の保証スキームの期限が切れるため」と説明。「調整プログラムの実施状況に関する調査が完了した段階で、同国の国債および政府が保証する資産の担保適格性について評価する」との方針を示している。

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こうしたなか、ギリシャ首相府は20日、サマラス首相が同日、ECBのドラギ総裁と電話会談し、「数週間以内に」会談することで合意したと発表した。同首相は近く、IMFのラガルド専務理事とも会談を行う見通しだ。

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ギリシャ政府はEUやIMFとの合意に基づく総額2,400億ユーロに上る融資を実行してもらうため、予算削減策を取りまとめているが、ユーロ圏の一部財務相などからは追加の削減策を求める声が上がっており、政府内で反発が高まっている。ギリシャに対する次期支援策の条件見直しは9月以降になることから、同国の財務省関係者はEUに対してつなぎ融資を要請する方針を示唆しており、サマラス首相とECBおよびIMFトップの会談で中心的なテーマになる可能性がある。

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