2012/7/23

産業・貿易

北海サバ漁でアイスランドなどに制裁、一部加盟国がEUに要請

この記事の要約

北海サバの漁獲をめぐる争いが激しさを増している。アイルランドは16日、フランス、ポルトガル、スペインとともに、サバの乱獲を続けるアイスランドとデンマーク領フェロー諸島に制裁措置を科すよう欧州委員会に求めた。\ 欧州の大西 […]

北海サバの漁獲をめぐる争いが激しさを増している。アイルランドは16日、フランス、ポルトガル、スペインとともに、サバの乱獲を続けるアイスランドとデンマーク領フェロー諸島に制裁措置を科すよう欧州委員会に求めた。

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欧州の大西洋北東海域のサバ漁をめぐっては、EUとノルウェーが資源管理の観点から漁獲枠を定めてきた。しかし、地球温暖化の影響でサバが大西洋北方の海域を回遊するようになったことからアイスランド水域内でサバの生息数が増え、同国のサバの水揚げが急増した。アイスランドは2010年、豊漁などを理由に漁獲枠を一方的に従来の6.5倍にあたる13万トンに拡大。フェロー諸島も3.4倍の8万5,000トンとした。この結果、全体の漁獲枠は持続可能なレベルを大きく超え、周辺国で資源枯渇への懸念が一気に高まった。EUは昨年1月、対抗措置として漁獲枠の問題が解決されるまで、アイスランドの漁船からEUの港へのサバの水揚げを拒否する方針を発表した。

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EUとアイスランド、フェロー諸島とノルウェーは事態の打開を目指し、9月にロンドンで会合を開くことになっている。しかし今回、一部のEU加盟国が制裁措置を求めたことで、アイスランドとフェロー諸島が態度を硬化させる可能性もある。フェロー諸島首相府の漁業・通商・地域政策問題の責任者を務めるサンダーソン氏は、制裁をちらつかせることは、「交渉を安定的に進めるために不可欠な、建設的でバランスのとれた状況の確保にはつながらない」と指摘。アイルランドなどの行動を「不穏で近視眼的なアプローチだ」と批判した。

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欧州委によると、国際海洋探査委員会(ICES)が推奨する今年のサバの漁獲枠は63万9,000トンで、昨年の水揚げ量は93万トンを大きく下回っている。

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