2012/7/23

競争法

欧州委がマイクロソフトを調査、改善策不履行の疑いで

この記事の要約

欧州委員会は17日、米マイクロソフトが欧州委と合意したブラウザーの提供に関する改善策を実行していない疑いがあるとして、同社に対する調査を開始したと発表した。マイクロソフト側は欧州委との取り決めを順守しなかった期間があるこ […]

欧州委員会は17日、米マイクロソフトが欧州委と合意したブラウザーの提供に関する改善策を実行していない疑いがあるとして、同社に対する調査を開始したと発表した。マイクロソフト側は欧州委との取り決めを順守しなかった期間があることを認めており、新たな改善策を提示しているが、欧州委は事実関係を確認したうえで、制裁を科す方針を示している。

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マイクロソフトは欧州委がパソコン用基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」とブラウザー「インターネット・エクスプローラー(IE)」の抱き合わせ販売がEU競争法に違反する疑いが強いとの見解をまとめたことを受け、2009年12月、向こう5年間にわたり、EU域内のウィンドウズ利用者がブラウザーを選べる「選択画面」を搭載する改善策を提案。欧州委もこれを受け入れ、同社に対する調査を打ち切った。

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しかし欧州委によると、マイクロソフトは11年2月に発売した「ウィンドウズ7」の更新版に選択画面を搭載しておらず、2,800万人のユーザーに同機能が提供されなかった可能性があるという。マイクロソフトは同年12月に欧州委に提出した報告書で、09年の取り決めを順守していると主張していた。

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マイクロソフトは17日、「技術的なエラー」のため、ウィンドウズ7の更新版である「サービスパック1」に選択画面を搭載しなかったことを認める声明を発表。現在、外部機関に技術的エラーの原因究明を要請しており、調査結果に基づいて再発防止策をまとめる方針を示すと共に、当初は14年12月までだった選択画面の搭載期間を15カ月間延長する措置を欧州委に提案したことを明らかにした。

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これに対し、欧州委のアルムニア副委員長(競争政策担当)は「法的拘束力がある欧州委の決定が実行されなかったことは過去に例がない」と指摘。調査の結果、マイクロソフトの義務違反が判明した場合は「制裁を科すことになる」と警告している。

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