2012/8/6

競争法

カード大手ビザに異議告知書、国際決済手数料を問題視

この記事の要約

欧州委員会は7月31日、クレジットカード大手のビザが欧州で徴収しているクレジットカードの国際決済手数料「マルチラテラル・インターチェンジ・フィー(MIF)」に関し、小売店などからビザカード決済を受け入れる銀行などの競争を […]

欧州委員会は7月31日、クレジットカード大手のビザが欧州で徴収しているクレジットカードの国際決済手数料「マルチラテラル・インターチェンジ・フィー(MIF)」に関し、小売店などからビザカード決済を受け入れる銀行などの競争を阻害する疑いがあるとして、同社に対し補完的異議告知書(SSO)を送付したことを明らかにした。

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MIFは加盟店銀行(加盟店での取引を処理する銀行)とカード発行銀行との間の決済手数料で、実際にはカード利用者が欧州の他国で買い物をした際に加盟店に課されるが、欧州委はこれが最終的に商品価格に上乗せされて消費者に不当な負担を強いるとともに、銀行間の競争を阻害しているとの見解を示した。ただ、これは「予備的見解」であるとして、今後も調査を続ける意向だ。欧州委は2008年にビザのMIFに関する調査を開始。09年にEC条約81条1項に違反している疑いがあるとして異議告知書を送付した。ビザはこれを受けて10年にデビットカードのMIFを0.2%引き下げただ、クレジットカードのMIFは引き下げの対象外だった。

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ビザの欧州部門ビザ・ヨーロッパのアイリフ最高経営責任者(CEO)は欧州委からSSOの送付を受けたことについて、「欧州委がこうした対決的なアプローチをとり、欧州の決済システムへの投資と革新を支援するための解決策を見出す姿勢を示さないことに非常に失望している」とコメントした。ビザは欧州で使用されているペイメントカードの41%を発行している。ビザのカードを受け入れる業者は500万件に上り、2010年の決済額は1兆8,000億ユーロに達した。

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