2012/8/6

環境・通信・その他

欧州委が省エネ建築普及戦略を発表、投資環境整備が柱に

この記事の要約

欧州委員会は7月31日、 経済と環境の両面で大きなメリットが見込める低エネルギー消費型建築物の普及促進に向けた施策の方向性を発表した。6月のEU首脳会議で合意した「成長・雇用協定」に基づく融資や優遇税制などの政策を動員し […]

欧州委員会は7月31日、 経済と環境の両面で大きなメリットが見込める低エネルギー消費型建築物の普及促進に向けた施策の方向性を発表した。6月のEU首脳会議で合意した「成長・雇用協定」に基づく融資や優遇税制などの政策を動員して、省エネ住宅・ビルの改修や補修を奨励し、EU内における就労人口の10%以上を占める建設業界を活性化して新たな雇用の創出と持続可能な経済成長の実現を目指す。

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欧州委のタヤーニ副委員長(産業・起業担当)は「現在の厳しい経済・社会状況のなかで、低エネルギー建築は安全かつ持続可能な投資対象といえる。建設業界は省エネ住宅や省エネビルの潜在性を活用して技術革新と人材開発を進め、持続可能な経済成長をけん引することができると考えている」と述べた。

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欧州委は低エネルギー建築の普及促進を図るため、EUレベルでの取り組みとして5つの戦略を打ち出している。最大の柱は省エネ型住宅やビルの改修や補修を奨励するため、投資環境を整えることで、具体的には成長・雇用協定に基づく欧州投資銀行(EIB)を通じた低利融資、付加価値税(VAT)減税をはじめとする税制上の優遇措置、適切かつ効率的な補助金の活用などを提案している。欧州委は各方面から意見を聞いたうえで2013年に具体策をまとめる方針だ。

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第2は労働市場の流動性を高めることで、欧州委はこれによってイノベーションを推進し、同時に労働者の技能を全体として底上げすることができると説明している。欧州委は第3に、国ごとに異なる評価基準を調和させて建築システムの相互認証を推進することを提案している。同委はこれにより、効率的な資源の活用に関する理解を広げて建設業における持続可能性を確保することができると強調している。欧州委はこのほか◇設計基準を域内で統一し、建設会社が国境を越えて活動しやすくする◇欧州の建設会社の国際的地位を向上させ、域外における事業活動と持続可能な建築基準の導入を奨励する――を戦略の柱に掲げている。

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欧州委は近く、加盟国と業界団体の代表などで構成する専門家会合を立ち上げ、戦略の実現に向けた具体策の検討に入る方針を示している。

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