2012/8/20

環境・通信・その他

排出量取引第3期の無償割当計画、全加盟国が欧州委に提出

この記事の要約

欧州委員会は9日、すべての加盟国からEU排出量取引制度(EU-ETS)の第3期間(2013-20年)で規制対象となる施設のリストと、ベンチマーク方式に基づく排出枠の無償割当に関する実施計画が提出されたことを明らかにした。 […]

欧州委員会は9日、すべての加盟国からEU排出量取引制度(EU-ETS)の第3期間(2013-20年)で規制対象となる施設のリストと、ベンチマーク方式に基づく排出枠の無償割当に関する実施計画が提出されたことを明らかにした。国内実施措置(National Implementation Measures=NIM)と呼ばれる各国の計画案を精査して、対象施設に割り当てる無償排出枠を最終決定する。なお、2013年7月に28番目のEU加盟国となるクロアチアは今秋に実施計画を提出することになっている。

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EU-ETSの第1期間では全体の95%、第2期間でも90%の排出枠が対象施設に無償で割り当てられてきたが、第3期間がスタートする13年から段階的にオークションによる有償割当への移行を進め、27年までに全面移行することが決まっている。ただし、EU指令は制度改正に伴う新たなコスト負担を回避する目的で、より規制の緩い第3国に生産拠点を移す「カーボンリーケージ」のリスクが高い鉄鋼、アルミ、セメント、繊維などの産業部門を対象に、ベンチマーク方式による排出枠の無償割当を行う移行措置を定めている。ベンチマークは同一製品を製造する施設のうち、07-08年時点で最も効率的な上位10%の施設における排出実績の平均を基に設定される。

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一方、発電部門は13年から原則的にオークションによる有償割当に全面移行するが、石炭など化石燃料への依存度、送電網の相互接続状況、国民1人当たりのGDPなど一定の条件を満たしたポーランド、ハンガリー、チェコ、ルーマニア、ブルガリア、リトアニア、エストニア、キプロスの8カ国は、既存の発電施設に対して全面オークションの適用を除外することが認められている。ただし、これらの国でも13年に05-07年の排出実績の30%以上を有償割当とし、20年までに全面移行しなければならない。また、これらの国では無償配分される排出枠の市場価値に相当する額を電力インフラの整備や技術開発、エネルギー供給源の多様化などに投資することが義務づけられている。

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