2012/8/27

産業・貿易

EUとのFTAで国内企業は深刻な損害、韓国政府が調整支援適用を初認定

この記事の要約

韓国の貿易委員会は23日、昨年7月に発効したEUと韓国の自由貿易協定(FTA)に伴うEUからの輸入増により、国内企業が深刻な損害を受けたとして、当該企業に貿易調整支援制度に基づく支援策を適用すると発表した。韓国政府がEU […]

韓国の貿易委員会は23日、昨年7月に発効したEUと韓国の自由貿易協定(FTA)に伴うEUからの輸入増により、国内企業が深刻な損害を受けたとして、当該企業に貿易調整支援制度に基づく支援策を適用すると発表した。韓国政府がEUとのFTAによる国内企業の損害を認めたのは今回が初めて。韓国政府は6月末、FTA発効後の1年間に韓国製品のEU向け輸出が12%減少したものの、これは主としてユーロ圏の債務危機によるもので、欧州景気が回復すれば韓国からの輸出も拡大するとの見方を示していた。

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発表によると、貿易委員会は韓国南部の全羅北道に拠点を置く豚肉加工業者から、EU産の豚肉が韓国市場に大量に流入した影響で、今年1-6月の売り上げが前年同期比で30%減少したとの申し立てを受けて調査を実施。FTA発効に伴い安価なEU産豚肉の輸入が急増した結果、国内業者が深刻な損害を受けたと認定した。同委によると、韓国豚肉市場における国産とEU産のシェアは2010年の85%、5.6%に対し、昨年は71%、12.2%となっている。

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韓国ではFTAに伴う輸入増などで国内企業が深刻な影響を受けた場合、当該企業を資金面や運営面で支援する貿易調整支援制度を設けている。今回、貿易委に申し立てを行った豚肉加工業者は同制度に基づき、低利融資や事業再建に向けたコンサルティングなどの支援策を受けることになる。

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貿易委はEUとのFTAに関連してさらに3件の申請について審査を行っており、この中にはEU産ワインの輸入増で多大な損害を受けたと主張する酒造メーカーなどが含まれているという。貿易調整支援制度の適用が初めて認められたことで、今後、幅広い業種から同様の訴えが相次ぐ事態も予想される。

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