2012/9/3

競争法

ライアンエアーのエア・リンガス買収に疑義、本格調査を開始=欧州委

この記事の要約

欧州委員会は8月29日、欧州最大の格安航空会社であるアイルランドのライアンエアーが同国の旧国営航空会社エア・リンガスを買収する計画について、本格的な調査を開始すると発表した。競争上の懸念が浮上したためで、来年1月14日を […]

欧州委員会は8月29日、欧州最大の格安航空会社であるアイルランドのライアンエアーが同国の旧国営航空会社エア・リンガスを買収する計画について、本格的な調査を開始すると発表した。競争上の懸念が浮上したためで、来年1月14日を期限に詳細な調査を行い、買収の可否を最終判断する。

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エア・リンガスの株式29.82%を保有するライアンエアーは7月、残り株を株式公開買い付け(TOB)を通じて取得することを提案していた。欧州委は初期審査の結果、ライアンエアーとエア・リンガスはダブリン空港発着便の大部分を運航しており、ダブリンと欧州主要都市を結ぶ便の多くを2社が独占していることから、買収による統合によって健全な競争が著しく損なわれる恐れがあると判断。現時点での承認を見送り、さらに詳細な調査を実施することを決めた。

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ライアンエアーはエア・リンガスが民営化された直後の2006年10月、同社の株式29.4%を取得し、買収を正式に提案したが、政府とエア・リンガス経営陣が反発。さらに欧州委が買収を認めなかったため、断念した経緯がある。2008にも買収を再提案したが、エア・リンガス側の同意を得ることができず、実現に至らなかった。

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ライアンエアーは、アイルランドが財政危機で国有資産の売却を求められていることや、欧州航空業界で再編が進んでいることから、以前と状況が変わったとして、再び買収に乗り出した。しかし、今回もエア・リンガスが反発し、欧州委も競争上の懸念を示したことで、厳しい見通しとなってきた。

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