2012/9/17

環境・通信・その他

航空機の排出規制めぐりEU内で不協和音、欧州委は政策維持を強調

この記事の要約

欧州委員会のヘデゴー委員(気候変動担当)は12日、EU加盟国は航空部門に対する温室効果ガス排出規制を支持していると強調する声明を発表し、規制に反対する米国や中国などと一部加盟国の摩擦を避けるため、域外の航空会社への排出量 […]

欧州委員会のヘデゴー委員(気候変動担当)は12日、EU加盟国は航空部門に対する温室効果ガス排出規制を支持していると強調する声明を発表し、規制に反対する米国や中国などと一部加盟国の摩擦を避けるため、域外の航空会社への排出量取引制度(EU-ETS)の適用を停止するよう欧州委に求めているとする報道を否定した。ただ、米中以外にもインド、ロシア、日本など多くの国が国際的な合意がないまま域外の航空会社に域内ルールを押し付けるEUのアプローチに対して批判を強めており、今後はEU内でも国際民間航空機関(ICAO)を通じて国際的な規制の枠組みを構築すべきだとの意見が強まる可能性もある。

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EUが今年1月に導入した新規制は、EU-ETSに基づいて域内の空港を離着陸するすべての航空会社に二酸化炭素(CO2)の排出削減を義務付け、達成できない場合は超過分の排出枠を購入するか、制裁金の支払いを求めるという内容。域外国からはEU域内だけでなく飛行ルート全体が規制の対象となる点や、制裁金が温暖化対策費ではなくEUの財源になる点などに批判が集中している。中国政府は2月、国内の航空会社がEUのルールに従うことを禁止したほか、欧州の航空機大手エアバスへの機体の発注も阻止。米国でも上下両院で国内の航空会社がEUのスキームに参加することを禁止する対抗法案が可決される見通しとなっている。

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こうした中で11日、ベルリンで開幕した国際航空宇宙ショーに合わせてエアバスの首脳陣と同社の株主であるドイツ、フランス、スペイン、英国の政府関係者が会談。欧米メディアによると、独経済技術省のペーター・ヒンツェ政務次官は会談後、「域外国との間で温室効果ガス排出規制をめぐる対立が深まる可能性があり、そうなればエアバスはさらに深刻な打撃を受けることになる」と警告。4カ国は2013年9月に開催されるICAO総会で国際的な規制の枠組みについて合意形成を目指す方針を確認すると共に、当面EUルールの適用を見合わせるよう欧州委に提言することで合意したと報じている。

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これに対し、欧州委のヘデゴー委員はツイッターへの投稿で「奇妙な報道について関係国から明確な訂正があった。航空部門をEU-ETSに組み込む構想に関してEUおよびEU加盟国の立場に変更はない」と強調。ブルームバーグによると、独仏の政府関係者もそれぞれ現行規制を支持する方針を表明しているという。

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