2012/9/24

競争法

アップルと出版4社が和解案、電子書籍の価格設定問題で

この記事の要約

米電子機器大手アップルが欧米の大手出版社と電子書籍をめぐる価格談合を行ったとして欧州委員会が調査している問題で、同委は19日、アップルと出版4社から提出された和解案について、利害関係者からの意見を求める市場テストを実施す […]

米電子機器大手アップルが欧米の大手出版社と電子書籍をめぐる価格談合を行ったとして欧州委員会が調査している問題で、同委は19日、アップルと出版4社から提出された和解案について、利害関係者からの意見を求める市場テストを実施すると発表した。

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欧州委は昨年12月、アップルが開設した電子書籍のオンライン配信サービス「iBookStore(アイブックストア)」で販売する書籍の価格を共謀してつり上げた疑いがあるとして、アップルと英ハーパー・コリンズ、米サイモン&シュスター、仏アシェット・リーブル、独ゲオルク・フォン・ホルツブリンク、英ペンギンの出版大手5社を対象に競争法違反の疑いで調査を開始した。

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アップルはアイブックストアで販売する電子書籍について、小売価格を書店ではなく出版社が設定する「エージェンシーモデル」(仲介モデル)を採用。出版社から販売額の30%を手数料として受け取るとともに、アップルと取り決めた価格よりも安い価格で競合他社に書籍を卸すことを禁じている。欧州委は「小売価格に対する出版社の支配力を強めている」としてエージェンシーモデルを問題視。同モデルの導入後に、電子書籍の価格が上昇したことに言及し、小売業者間での価格競争が「不当に排除された」としている。欧州委からの指摘を受けてペンギングループを除く出版社4社とアップルが提出した和解案は、エージェンシーモデルに基づく現行の販売代理店契約を終了し、アップルより有利な価格での販売を禁じる条件を5年間凍結することや、小売業者による価格の設定・変更・引き下げを2年間は制限しないことなどが盛り込まれている。

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市場テストの意見募集期間は1カ月間。テストの結果問題がないと判断されれば、アップルと出版4社に対する欧州委の調査は終了する。

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