2012/10/1

総合 –EUウオッチャー

ポルトガルが財政再建策見直し、労働者の社会保険負担増を撤回

この記事の要約

債務危機に直面するポルトガルのコエリョ首相は9月24日、EUと国際通貨基金(IMF)による金融支援の見返りとして実施する財政再建計画を見直す意向を表明した。労働者が負担する社会保険料の引き上げを撤回し、他の措置で税収拡大 […]

債務危機に直面するポルトガルのコエリョ首相は9月24日、EUと国際通貨基金(IMF)による金融支援の見返りとして実施する財政再建計画を見直す意向を表明した。労働者が負担する社会保険料の引き上げを撤回し、他の措置で税収拡大を図る。

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ポルトガルは昨年5月にEUとIMFから総額780億ユーロの金融支援を取り付けた際、財政赤字を2012年に国内総生産(GDP)比4.5%、13年に3%以内に抑えることを約束し、その実現に向けた財政再建策をまとめた。しかし、景気低迷で税収が予想以上に落ち込んでいることから、9月初旬に追加の財政再建策を発表していた。

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新再建策は、現在は給与の11%となっている社会保険料の労働者負担を13年から18%に引き上げることを柱とする内容。企業の保険料負担は、雇用促進のため23.75%から18%に軽減する。これに対して国内では、弱者いじめとして批判の声が噴出し、労働組合などが大規模なデモを展開している。

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政府の方針転換は、こうした批判に応じたもの。代替策は未定だが、コエリョ首相は負担増加の不公平感をなくすため、所得税引き上げを検討していることを明らかにした。

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EUとIMFは先ごろ、ポルトガルの景気悪化を考慮し、財政赤字削減目標の緩和を認めた。今年はGDP比5%、13年は4.5%となる。ただし、43億ユーロに上る次回融資の実施には、追加財政再建策の導入が必要。政府は10月中旬までに新たな再建策を盛り込んだ13年度予算案を成立させなければならない。

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